2016年6月29日水曜日

初対面のアポをドタキャンした会社に未来があるか?



たまたま電話を取った相手が営業代行の会社で、サービス紹介のためにアポイントが欲しいと言います。声は若そうな男性の営業担当です。

その会社の名前は、人づてに聞いたことがありましたが、何人かが異口同音にダメ出しをしていて、あまり評判が良くありません。営業担当のレベルが低いとか、サービスを利用してみたが成果がないとか、そんな内容の話です。

それでも会社としては成長しているという触れ込みですし、そうであれば何かサービスとして特徴的なものがあるのかもしれません。私の周りの評判は一部の偏った話なのかもしれません。私が電話営業をしてくる会社と会うことはほとんどありませんが、そんなことを確かめてみたい気持ちもあり、試しに一度会ってみることにしました。

そのアポイントの当日、予定時刻の10分前に営業担当から電話がかかってきました。
なんでも前の打合せ時間が延びてしまい、時間に間に合わないので今日は来られないとのことです。「多少時間を遅らせても良い」と伝えると、まだ相当遠くにいるので無理なのだそうです。電話口では「またあらためて」と言っていましたが、結局その後は音信がありませんでした。

こちらの興味本位な感じに気づいたのだろうか、それとも私のことを調べてここには営業しない方が良いと思ったのだろうか、などと考えましたが、私にとってはそれほど重要なことではないので、そのまま放置していました。

しかし、それから2ヶ月ほどたったある日、その会社の別の営業担当からまた電話が入ります。前回と同じような感じの若い男性で、やはり同じくサービス紹介がしたいのだそうです。今回はお断りしましたが、それは前回のことがあったからというよりは、私の中でこの会社に関することでは答えが出て、もう興味がなくなったからといった方が正しいです。

たぶん、
・営業担当同士が協力して、会社全体の売上を上げようという体制ではないこと
・営業経験の少ない若手人材が多く、なおかつスキルやマナーの教育も甘いこと
・テレアポの状況把握が甘いか、もしくはほとんどされていないと思われること
などが、一連の対応から私が感じたことです。

要は、対応のまずさは一部の人だけによるものではなく、会社全体がそうであろうということです。そうなると、どんなにサービス内容が良くても会社は伸びません。そもそも、そういう体質の会社のサービス内容が、良かったためしはありません。

やはり伸びている会社は、当たり前のことを着実に続けています。何か約束事があれば、その担当者がいなくても、他の誰かが責任を持って対応しますし、できることはすぐやり、できないことはできないとはっきり言います。
ここで言う当たり前のこととは「約束を守る」「素早く」「誠実に」ということです。

アポをドタキャンしたこちらの会社は、今のままでは未来がないと思います。今一度、当たり前な基本に立ち返ってくれればと思います。


2016年6月27日月曜日

私も見たことがある「態度の悪い面接官」を直すには



あるウェブのコラム記事に「礼儀知らず、常識はずれの面接官の話」が出ていました。
就活生が経験したという話からで、企業の面接官の印象にネガティブなものがたくさんあり、むしろ社会人の方が、社会常識の無さや礼儀知らずなのではないかと指摘されています。そんな例が増えてきているのだそうです。

例えば、
・見下した態度や差別発言をする社長、役員面接
・目も合せず、無愛想無表情で作業のような面接
・エントリーシートすら読んでいない面接
・肘をついたままの話す、スマホをいじっている、面接中に電話に出るなどの礼儀知らず
・居眠りをする面接官
・露骨な女性差別
などが挙げられていました。

これを見た皆さんはどう感じたでしょうか。
こんな行動は信じられないという人も、身に覚えがあるという人も、この程度のことは普通だという人もいろいろだと思いますが、企業の採用に関するアドバイスをする私から見れば、人を採用したいと考えている企業の態度としては、相当なNG行動だと思います。

ただ、こういう行動を実際に目にした経験は、それほど多くはありません。これは私が企業の人事担当であった頃も、コンサルタントの立場になってからも、一貫してそのあたりを厳しくチェックしていたということがあると思います。
態度や礼儀が危うい人と思われる人は、そもそも面接官にしませんし、社長や役員であっても、失礼な態度が見られれば、その都度指摘していました。

確かに社長や役員クラスには、礼儀や態度に関するようなレベルのことは言いづらいですし、指摘すれば不機嫌そうな態度になることはありますが、言わずに放置すれば人が採用できなくなって、それは会社としての成果に関わります。
言えばそれなりに改善されますので、成果を得るためにそうしていたということです。

実際に見た経験はそれほど多くないとは言っても、やはりそれなりに目にしたことはあります。
まず多かったのは、「社長、役員、部長クラス以上の上から目線の態度や言動」です。
特に相手が就活生となると、社内で上席の者は、ついつい親近感を通り越したタメ口になっていたり、おかしな説教モードになったりします。
若者に対して一家言あるような人ほどそうなりがちで、本人は良いアドバイスをしているくらいに思っていることも多いので注意が必要です。

もう一つは、「本人が無意識のうちの失礼な態度」です。
これはあまり年令を問わずにあることですが、面接中に電話に出たり、椅子に浅く腰かけてふんぞり返ったような態度で話を聞いていたりします。ただ、本人には全く悪気がないところが問題です。たぶん日常的な会議や顧客打ち合わせでも、同じように振る舞っているのでしょう。しつけの問題に近いのだと思います。

それぞれ指摘をすると、前者の場合は謝りはするものの不機嫌になり、後者では驚いた表情で「初めて言われた」などとなりますが、どちらもその後は改善されます。

「態度の悪い面接官」というような話が増えているということは、結局は企業内のチェック機能が失われているということです。上席者ほど当事者に近い場合が多いので、よけいにそうなってしまうのでしょう。

就活生からこんな指摘を受けてしまうということは、社会人の先輩としてはやはりはずかしいことです。礼儀や態度というのは、自分で気づいて直すのはなかなか難しいことなので、気づいた誰かが伝えるしか、直す方法はありません。
指摘しづらいことですが、人事を担当しているならば、こういうことでも当事者にしっかり伝える責任があると思います。


2016年6月24日金曜日

「うまくいった経験」よりも「挫折や失敗の経験」が大事



採用面接をしていると、そこは基本的には自己アピールの場ですから、多くの応募者は自分の得意なことや、過去の成功体験の話をします。それは当然のことだと思います。そのために、時間をかけて、自分の成功体験を語れるように準備をしてきます。

しかし、最近いくつかの会社で同じことを言われたのは、「挫折経験や失敗体験を持った人に来てほしい」という話です。
これは、新入社員から社長の後継者候補まで同じことを言われますので、人材のレベルに関係がない共通の要件なのだと思います。

その話を聞いていて、私の経験上でもその気持ちはよく理解できます。
成功体験というのは、そのプロセスを聞いていて、途中の努力などで評価できることはたくさんありますが、それがまったく別のステージで再現できるかは、何とも言えないところがあります。

これに対して挫折や失敗は、それを初めから想定していることはほとんどないと思われ、それ自体が突発的に起こったことへの臨機応変な対応につながる部分があります。
それを克服した経験があれば、それに越したことはないのでしょうが、多くの会社に聞く限りではそこにこだわりはなく、これを他人に語れるようになっていること自体が、すでに次への活かし方を見つけられていると評価しています。
それが解決できたかどうかというよりは、「自分の思い通りにいかないことに向き合った経験」が、一番大事だということです。

最近の若者は打たれ弱いなどと言われ、確かにそうだと感じることはありますが、その理由の一つに「周りの大人たちが失敗をしないように仕向けるために気をつかっている」と思うことがあります。

これは、今の少子化の環境では仕方がないところではありますが、失敗体験が少なければ一度の失敗で感じるショックは大きくなり、大きなショックであればあるほど、そこから立ち直るのが大変になります。

では、今の若者に失敗体験がないかと言えばそんなことはなく、「失敗体験は?」と問いかけると、みんなそれなりの体験を持っていることが多いです。受験の失敗、部活での失敗、友人関係の失敗、その他いろいろです。たぶん嫌なことはできるだけ忘れるようにして、あえて向き合わなかっただけのように思います。

もしもこれから採用面接に向かう予定がある人がいるならば、成功体験に基づく自己アピールだけでなく、失敗や挫折の体験も語れるようにしておくとよいと思います。そこでは失敗を克服した話も、それに立ち向かった話も必要がありません。
まったくダメだった経験、逃げ出した経験、何もできなかった経験が、将来性につながることとして評価されることがあります。

自分のことを客観的に語れる人は、どんな場面でも強いと思います。