2019年8月22日木曜日

自覚していない「依存」


私たちのように、組織に属さず働く独立コンサルタントは、仕事にかかわるすべてのことを、基本的にはすべて自分でやらなければなりません。営業、経理、IT関連、その他各種の事務処理はすべて該当します。
それをしないで済む方法は一つだけあり、誰かにお金を払ってその仕事を依頼することです。

私もそうやって依頼することはありますが、その理由の一つは「自分でやる時間がないから」です。本来は自分でやるべきでことでもどうしようもない時があり、そういう際には他の誰かにお願いします。
もう一つの理由は、制作物など「自力のレベルではクオリティが低いから」です。一般的な印刷物やちょっとした制作物であれば、見栄え良く安価でできる様々なサービスやツールがあるので、それを利用しますが、作り方ややり方はわかっていても、やはりプロに頼まなければどうしようもない時があります。

私の場合、「やり方を知らない」「内容がわからない」という理由で、他人に仕事を依頼することはありません。まずは自分で調べて、それでもわからなければその分野の専門家の知り合いに尋ねます。
お金を払って、もしくは仕事を依頼したついでに「教えてもらう」という方法はありますが、まだそこまでやったことはありません。
なぜそんなことにこだわるかといえば、「いつかは必ず自分でやらなければならない場面に出会うから」です。「やり方を知らない」「内容がわからない」というままで放置して、他人任せにしていると、困るのは結局自分だからです。
幸いなことに、中小企業で会社全体の動きをみられる立場にいたので、そこで見聞きしたことが、今となってはずいぶんと役立っています。

私の周りにいる同じような立場の人の中には、「自分の本業以外の周りの仕事は、できるだけ他人にやってもらう」という人が何人かいます。ただし、この人たちは決してやり方を知らない訳ではありません。自力で何度もやってみたけれど、他人に任せた方が、自分で使った労力に対して、時間はかからず安上がりだったりするからだといいます。
「最低限のやり方は知っておく」というのは、一種の個人事業者マインドなのだと思いますが、少なくとも私の周りにいる人は、自分が知らないままで他人に丸投げは絶対にしません。

ただ、最近出会った人に、わからないことは全部他人に任せてしまえばよいと、何でも社外発注してしまう人がいます。「お金がかかった」と口癖のように言いますが、今のところは成り立っているようなので、それはそれでも良いのでしょう。

こういうタイプの人を、ほかにも数人知っていますが、この人たちに共通していることがあります。それは組織体制や分業が確立した、どちらかといえば大きな企業の出身者ということです。
周りの人が細かいことをすべてフォローしてくれていた環境に無意識のうちに染まっていて、組織を出て初めて世話役が誰もいなくなったことを知り、他人にお金を払って依頼しているということです。私からすると、これは「依存心が高い」と見えてしまいます。

ただ、依存心が高くて何でも他人任せだからといっても、それをカバーできるだけの収益があったり、組織が拡大して人が増えていったりすれば、何でもかんでも自分でやる必要はなくなります。「依存心の高さ」が決定的にダメということではありません。

「依存心の高さ」を感じる人について、一番問題だと思うのは、「自分が依存しているのを自覚していないこと」です。自分の成果に自信満々で、会社のブランド価値のおかげに気づかないことと似ていて、自分の仕事が順調に回っていた裏で、周囲に様々なことを「依存」していた状況に気づいていません。

どんな人でも多かれ少なかれ、周りに「依存」しながら仕事をしています。会社に属しているか否かにかかわらず、自分の「依存」を自覚する感性は必要です。

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