2021年8月30日月曜日

「若者は・・・」の思い込み

東京都が始めた若者向け予約なしワクチン接種に希望者が殺到して、いろいろ収拾がつかなくなった話題がありました。結局抽選制になり、それも現地に行って券をもらうアナログな方法ということで、いろいろ批判的な意見があるようです。

準備不足は大目に見たとして、関係者が「若者は希望者が少ないと思っていたので想定外」と言っているのを聞いて、それはさすがに状況把握がずれ過ぎていると思います。

 

普通に公表されているデータを見れば、確かに年齢が下がるほど希望者の比率は減りますが、それでもはっきり「希望しない」と答えているのは2割くらい、次の2割は「まだわからない」となっています。それは残りの6割は希望しているということであり、「想定外に希望者が多かった」などというのは、「若者の接種意向は少ない」と勝手に思い込んでいただけでしょう。

きちんと調査するなり、それができなくても身近な若者に意見を聞くくらいで十分に状況はわかったはずです。そんな思い込みで重要なことが動き始めてしまうのはかなり危うさを感じます。

 

この「若者は…」の思い込みは、私の年齢でいうのも説得力に欠けますが、気になることがずいぶんたくさんあります。

例えば、最近の若者は「物欲がない」「購買意欲がない」と言います。車を買う若者がどんどん少なくなっていることなどと結びつけて言いますが、そういうデータは確かにあるものの、だから購買意欲がないと言い切ることはできません。

車に興味のない人が多いのはそうかもしれませんが、例えばかなり高級な自転車を持っていたり、洋服をたくさん持っていたり、釣り、アウトドア、その他趣味のグッズを取り揃えていたりします。自分が興味のない物、不要と思う物に無駄な支出はしませんが、自分の好きな物や必要だと思った物には、結構思い切ってお金を使う人が大勢います。これは物欲や購買意欲はあるが、自分が無駄だと思う物には手を出さないというだけに過ぎません。

こうやって見れば、「今どきの若者は物を買わない」というのは、他の世代が一部の人を取り上げて勝手に思い込んでいるだけに過ぎないことがわかります。

 

例えば、最近の若者は「あまりお酒を飲まない」などと言われ、確かに全体販売量のようなデータを見れば、そういう傾向はあるのかもしれません。ただ、私の周りで見ていると、一滴も飲まないという人は少数で、状況に応じてそれなりにたしなんでいる人がほとんどです。

「お酒が好き」「飲み会が好き」という若者は大勢いますが、つぶれるまで飲むようなことは確かに少ないようですし、職場関係のようなあまり親しくない人と一緒に行くのは好まないところがあります。ただ、そのことだけで「若者はお酒を飲まない」と言い切るのは、同じく思い込みに過ぎません。

 

こういう思い込みが増えるのは、主に上の世代が自分たちが同年代だったころと比べて、違うと感じたところばかりを象徴的に言うからです。あくまで私が感じることで、今の若者世代と以前の違いを挙げるとすれば、志向が多様化して何に関しても一概に言い切ることがしにくくなったことがあります。

車や飲み会よりも優先したいことが人それぞれでたくさんあって、ある一つの切り口だけをとらえて論評しても、それが全体傾向にはつながらないことが多いです。逆に若者の中でも車好きや酒好きは大勢いて、その人たちだけに注目すれば「あまり昔と変わらない」となりますが、そのとらえ方も同じく全体傾向とはつながりません。

 

特に若い世代では志向や価値観が多様化しており、ステレオタイプに「○○は○○だ」などと言い切ることは難しくなっています。

型にはめた思い込みで決めつけず、客観的な情報で実態を把握することが、まずます重要になっています。

 

 

2021年8月26日木曜日

「指示待ち」「受け身」には理由がある

いろいろな会社で、主に自分の部下や若手社員の「指示待ち」が問題視されます。

「言われなければ動かない」「自発的な行動がない」「仕事への姿勢がすべて受け身」など、指摘されることはどこもほとんど同じです。

特にやり玉に挙がりやすいのは新卒の新入社員です。「やる気が見えない」「積極性がない」など、こちらも言われるのは似たようなことです。

 

ただ、新入社員のことでいえば、彼らは社会人としても社員としても、何の経験もない初心者中の初心者です。その人たちにいったいどんな行動を求めているのでしょうか。

「言われなければ動かない」の反対で、求められているのは「言われなくても動く」ですが、もし言われていないことを自己判断でどんどん行動されたとしたら、上司はたぶんかなり困るはずです。「言われなくても」と「動く」の間には、「こちらの意図通りに」という言葉が入りますが、ここにはそれなりの経験が必要です。

 

もう一つ「言われなければ動かない」の反対としては、「言われれば動く」となります。指示されてその通り行動するのであれば、そのことに何の問題もありません。「動かない」ではなく「動“け”ない」ことも考えられますが、その理由の一つは「指示がないから」、もしくは「指示の意味が理解できないから」です。そうなると、責任の一端は上司にあります。

 

「動“け”ない」という理由は他にも考えられます。多いように感じるのは、やはり「失敗を恐れる」ということです。本人は無意識のまま本能的にそういう行動をとっていることもあります。

「失敗を恐れる」のは、必ずしも自分の身を守りたいばかりではありません。「周りの人に迷惑をかけてはいけない」、だから「失敗してはいけない」と思っている人がたくさんいます。真面目な人が多いのか、自分のミスで他人の時間を奪ったりすることを、とにかく避けたがるところがあります。

 

自分だけが突出することを好まないため、みんなに指示されるまであえて待っているようなこともあります。周りとの関係に気を遣っているのです。

 

「受け身」「指示待ち」を批判的に言う人たちも、経験が浅い若手の頃は、同じように叱責された経験がある人は大勢いるのではないでしょうか?

その時はただ手抜きやサボりの気持ちで指示を待っていたのでしょうか?

 

もちろん中には「指示された方が楽」「言われた以外の余計なことはやりたくない」など、仕事への取り組み姿勢が好ましくない人もいるでしょう。しかし、それ以外の多くの人は、「受け身」「指示待ち」になってしまう理由が何かあり、必ずしも本人の姿勢に問題があることばかりではありません。

 

人が「指示待ち」に陥ってしまうのは、何か必ず理由があります。それをきちんと見極めて一緒に取り除いていかなければ、本当の解決にはつながりません。

 

 

2021年8月23日月曜日

判断を先延ばしする良し悪し

最近目にした記事で「戦力の逐次投入の失敗」の話がありました。太平洋戦争での旧日本軍の敗因とも言われているものです。

これは日本の伝統的な体質だそうで、戦力を出し惜しみして結果を悪くしていくのは、過去の日本の失敗パターンすべてに当てはまるように感じます。今回のコロナ禍での対応でも、そんな様子を感じてしまいます。

 

ただ、自分が実際に決断する立場だったとしたら、同じように小出しの対応をしてしまう可能性はあります。「様子を見ながら」という判断が正解になる場合もあり得るわけで、一概に批判することはできません。

 

そうは言っても、多くの場合は「様子を見る」という理屈の下で、結局は判断を先延ばししているに過ぎません。積極的に「様子を見た方が良い」と判断しているわけではないことが大半ではないでしょうか。

こういう状況に出会ったとき、私がいつも思い浮かべるある会社の社長がいます。ピンボケの対策と、根拠がない楽観論と、判断の先延ばしが組み合わさった行動をする人で、その時の様子とその後の結果が、私にとっては戒めの一つになっています。

 

一番の問題は、やはり「判断の先延ばし」でした。なぜか時間が経てば状況が好転すると信じていて、そのシナリオに基づいて「様子を見る」ということを繰り返していました。もちろんまったく無作為というわけではなく、自分なりに考えた対策は取ろうとしますが、それが本業からかけ離れた怪しげなフランチャイズビジネスだったり、収益化できるまで時間がかかる事業なのに、すぐに利益が出るような見込みを立てていたりします。

楽観と先延ばしとピント外れが組み合わさって、状況は一層悪くなっていきましたが、それでも社長は行動を変えず、結局会社は他人に譲渡して、自分は経営から身を引かざるを得なくなってしまいました。

 

ここからの私の学びは、特に「判断の先延ばし」が最も良くない影響を及ぼしていたことでした。多少のピント外れや過度の楽観があったとしても、その都度何か判断して行動していれば、もう少し違う結果があったのではないかと思う場面が多々あったからです。

 

今のように変化が激しい時代を指して、ある人が「オプションの時代」と言っていました。先の見通しを立てづらい中では、多くの選択肢を取り揃えてその中から手段を選ぶことは難しく、さらに当初の計画通りに物事を進めることも難しく、常に動きながらその段階で手元にある選択肢、つまりオプションの中から方策を選んでいくことを繰り返すしかないという話です。

状況が変われば、その変化によって生まれた新たな選択肢の下で判断し、その繰り返しが変化の激しい時代では重要だといっていました。先延ばしをせずに、その場その場で常に判断を下していくということです。

 

冷静に状況を見極めて「様子を見る」「判断を延ばす」ということが良いケースは確かにあると思います。ただ、私が経験してきた中では、それが良い結果を生むことはありませんでした。これがたまたまの偶然なのか、それとも原理原則にあたるのかまではわかりません。

あくまで私の経験ですが、判断を先延ばしするよりは、その場その場で何かしらの判断を繰り返す方が、結果が好転する可能性があります。ここからかけ離れたように見える昨今の社会状況がとても気になっています。