2021年8月2日月曜日

会社にもいる「教え魔」は悪いことばかりではない

ある記事で、「教え魔」に遭遇した2000人に聞いたアンケートの結果の分析と、それに関する見解が書かれたものがありました。

アンケートで「教え魔に遭遇した場面」を聞いたところ、「ゴルフ」が22.7%と最も多く、「SNSなどインターネット上の書き込み」が15.1%、「フィットネスクラブなどのジム」が10.0%、「ボウリング」が9.0%、「キャンプ場」が7.0%、「バッティングセンター」が6.5%と続いていました。

その「教え」が続いた最長時間は8割強が30分以内で終わっている一方、1時間以上が8.1%いるなど、かなりの長時間に渡って教えを受けた人もいたようです。

 

教え魔に遭遇した後もその趣味を続けているか聞いたところ、半数近くはそのまま続けている一方、「続けているが、教え魔に遭遇した施設/時間帯は避けている」が24.1%、「続けているが、その施設はしばらく休んだ」が8.1%、「趣味自体をやめた」という人が18.4%という結果でした。やはり気分を害する人は結構な割合でいることがわかります。

 

ただ、教え魔への感想として、「迷惑だ」は38.8%で、逆に「ときにはありがたい」と思った人が56.1だったそうで、これはアンケート対象の年齢層は40代以上が中心だったため、自分も「教える側」を経験している人も多く、若いときに教えてもらったことが今の自分の糧となっていると実感する年代でもあり、そこから「教えてくれる」ということを素直に受け止めることができるのではないかと分析されていました。

 

遭遇した教え魔は男性が圧倒的に多く、年代は中高年層が多いようで、基本的には本人の善意に基づく行動とのことです。

教え魔になりやすいタイプも挙げられていて、

・教えたい物事にある程度の経験と実績がある

・物事に熱くなりやすい

・教える相手より自分の方が年上

・他者の感情に無頓着

・自信家

などの特性がありました。

私の感想は、「この相手なら自分は教えられる」と思い込んでの行動が多いイメージで、自分の知識やスキルを他人に教えることは必要ですが、それを相手が求めているのか、肯定的に思っているのかをとらえる感性を持っておらず、善意であればさらにそのことに気づかないと感じました。

 

この「教え魔」に似た問題は、企業の人材育成の中でもしばしば見かけることがあります。

企業内の問題では、必ずしも中高年男性が「教え魔」というわけではなく、若手や女性も結構な割合で見かけます。たぶん年齢や入社年次、役職、等級などで社内の序列が明らかにわかるので、「自分が上」という認識を持ちやすいことがあるように思います。

ここでの問題で共通しているのは、「教えすぎ」と「型にはめる」というところです。自分の経験に基づいて、良く言えば「面倒見が良い」「世話好き」ですが、何でも「こうしなさい」と指示してしまうために、「本人に選択肢を持たせない」「自分で考える力、判断する力が育たない」という点が、特に大きな問題になります。特に女性が幼児の子育てに似た感覚で、一から十まで何でも指示するというような振る舞いをしていたことがありました。

 

こういう教え方をしていると、新入社員のように経験が浅いうちはまだ良いですが、徐々に経験を積んでいく中では、自分なりに考えて判断する力は育ちません。一般的に優秀と言われる人材は、自分で考えて行動する意識が高いことが多いですが、「手取り足取り」「何でも教える」「型にはめる」「考えさせない」という教え方は、こういう人たちにとって最も息苦しいことです。

一方で、その教え方を受け入れて慣れてしまうと、どこかで成長が止まってしまう恐れがあります。俗にいう「指示待ち」という人材になってしまうかもしれません。

 

「教え魔」は、教えようとする意識が高いという点で、悪いことばかりではなく、問題はどんな教え方をするかです。やはり簡単に答えを与えず、自分で考えさせるプロセスはとても重要です。

それがしっかりできるのであれば、企業内での「教え魔」は良い教育担当者になるのではないでしょうか。

 

 

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