2021年8月16日月曜日

「在宅勤務での給与削減」という話をどうとらえるか

IT大手のグーグルが、今後もオフィスに出勤せず在宅勤務の継続を選択した従業員の給与を、住む場所に応じて最大で25%削減する方針だという記事がありました。

報道によると、オフィスがある都市に住む場合には給与は削減されず、オフィスから離れてコストが低い場所に住むほど削減額が多くなるとのことです。

世界中で在宅勤務が広がっていますが、フェイスブックやツイッターなども在宅勤務の従業員の給与を削減する方針があることが明らかになっているそうです。

 

日本で同じことを言ったら、その会社はきっと袋叩きに合いそうだと思いながら見ていましたが、この記事が事実だとすると、やはり在宅勤務、テレワークに対する見方がある程度定まってきたということはできます。プラスとマイナスを天秤にかけて、少なくとも収益や生み出す成果という部分では、マイナスが多いと見ているということでしょう。

そもそもグーグルは、もとからテレワークにあまり積極的でなかったこともあるので、何となくうなずけるところがあります。

 

これは私の身近な人たちから聞いていることなので、全体傾向とは必ずしも合致しないかもしれませんが、在宅勤務やテレワークについては、生産性が下がったと思えること、かえって非効率になったり大変になったりしたこと、仕事の成果や業績への影響など、当初言われていたメリットばかりという感じではなくなっています。

 

業績的にはここへ来てマイナスが明らかになってきたという話を聞く機会が増えましたが、その中には出勤率との相関性をいう人がいました。特に新規営業の面ではっきりとしたマイナスが数字に表れてきたと言います。

在宅勤務では他の人から仕事振りが見えないことでのサボりの話がありますが、そこまで露骨なサボり行為の話は、まだ身近で聞くことはありません。かえって忙しくなってという人もいるくらいなので、たぶんごく一部の特殊な話なのでしょう。

 

ただ、一部の新入社員や若手社員から、指示されている業務だけでは時間を持て余してしまうという話は聞きました。余った時間で自分なりに意味があることに取り組もうとはするものの、自分の力だけではなかなか難しいところがあるようです。人の仕事ぶりを横目で見たり、電話のやり取りを聞いていたり、ちょっとしたアドバイスを求めたりすることができないので、自分のスキルに不安を感じることが増えたと言います。やはり人材育成面での問題は確実にあります。

 

会議の数がかなり増えたという話は、いろいろな人から聞きました。会議室のキャパシティーという物理的な制約がないせいで、「とりあえず耳だけ貸しておいて」「聞いているだけで良いから」など、安易に参加依頼されることが増えたそうです。会議室予約も不要で、インターバルなく会議予定を詰め込むことができるのも、会議が増える一因となっています。在宅勤務、テレワークで新たに生まれた非効率の一例といえるのではないでしょうか。

 

首都圏の在宅勤務で一番のメリットとされた「通勤負荷の軽減」が、特に地方企業ではもともと職住接近での車通勤など、通勤負荷がもとからほとんどなかったため、在宅勤務があまり進んでいないところが多く見られます。感染予防のためには意味があっても、それだけでは社員のメリットが少なすぎるということでしょう。実際に「自宅で仕事なんて勘弁してほしい」という話を、何人もの人から聞きました。

 

在宅勤務、テレワークは今後も定着し、新たな問題はこれからもたくさん出てくるでしょう。今回の給与削減という問題も、そんな中での試行錯誤の一つかもしれません。

ただ、そうやって新しい働き方が磨かれていくのは、決して悪いことではありません。やってみて初めてわかること、慣れていくうちに生まれる新たな問題は必ずあり、それに対応していくことでより良い形に変わっていきます。

 

今後起こることをはっきり想定するのは難しいですが、変化と改善が必要なことだけは間違いありません。

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