2021年8月23日月曜日

判断を先延ばしする良し悪し

最近目にした記事で「戦力の逐次投入の失敗」の話がありました。太平洋戦争での旧日本軍の敗因とも言われているものです。

これは日本の伝統的な体質だそうで、戦力を出し惜しみして結果を悪くしていくのは、過去の日本の失敗パターンすべてに当てはまるように感じます。今回のコロナ禍での対応でも、そんな様子を感じてしまいます。

 

ただ、自分が実際に決断する立場だったとしたら、同じように小出しの対応をしてしまう可能性はあります。「様子を見ながら」という判断が正解になる場合もあり得るわけで、一概に批判することはできません。

 

そうは言っても、多くの場合は「様子を見る」という理屈の下で、結局は判断を先延ばししているに過ぎません。積極的に「様子を見た方が良い」と判断しているわけではないことが大半ではないでしょうか。

こういう状況に出会ったとき、私がいつも思い浮かべるある会社の社長がいます。ピンボケの対策と、根拠がない楽観論と、判断の先延ばしが組み合わさった行動をする人で、その時の様子とその後の結果が、私にとっては戒めの一つになっています。

 

一番の問題は、やはり「判断の先延ばし」でした。なぜか時間が経てば状況が好転すると信じていて、そのシナリオに基づいて「様子を見る」ということを繰り返していました。もちろんまったく無作為というわけではなく、自分なりに考えた対策は取ろうとしますが、それが本業からかけ離れた怪しげなフランチャイズビジネスだったり、収益化できるまで時間がかかる事業なのに、すぐに利益が出るような見込みを立てていたりします。

楽観と先延ばしとピント外れが組み合わさって、状況は一層悪くなっていきましたが、それでも社長は行動を変えず、結局会社は他人に譲渡して、自分は経営から身を引かざるを得なくなってしまいました。

 

ここからの私の学びは、特に「判断の先延ばし」が最も良くない影響を及ぼしていたことでした。多少のピント外れや過度の楽観があったとしても、その都度何か判断して行動していれば、もう少し違う結果があったのではないかと思う場面が多々あったからです。

 

今のように変化が激しい時代を指して、ある人が「オプションの時代」と言っていました。先の見通しを立てづらい中では、多くの選択肢を取り揃えてその中から手段を選ぶことは難しく、さらに当初の計画通りに物事を進めることも難しく、常に動きながらその段階で手元にある選択肢、つまりオプションの中から方策を選んでいくことを繰り返すしかないという話です。

状況が変われば、その変化によって生まれた新たな選択肢の下で判断し、その繰り返しが変化の激しい時代では重要だといっていました。先延ばしをせずに、その場その場で常に判断を下していくということです。

 

冷静に状況を見極めて「様子を見る」「判断を延ばす」ということが良いケースは確かにあると思います。ただ、私が経験してきた中では、それが良い結果を生むことはありませんでした。これがたまたまの偶然なのか、それとも原理原則にあたるのかまではわかりません。

あくまで私の経験ですが、判断を先延ばしするよりは、その場その場で何かしらの判断を繰り返す方が、結果が好転する可能性があります。ここからかけ離れたように見える昨今の社会状況がとても気になっています。

 

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