在宅勤務、モバイルワーク、ノマドワークといった場所の制約を受けない働き方への関心が高まっていて、実際にそういう形で仕事をされている方も、ずいぶん増えているのではないでしょうか。
私は十数年前に、その頃在籍していた会社で試行的に在宅勤務制度を導入したことがあるのですが、その当時は環境的にまだまだ整っておらず、結局制度を利用していた本人が「やっぱり普通に出勤して働きます」ということになり、やはりなかなか難しいなぁという感想を持った経験があります。
今はIT技術の進歩も目覚ましく、その当時課題としていたこともかなりの部分は解決できるようになりつつあり、その気になりさえすれば導入しやすい環境になったと思います。
ただ、IT環境的にはそうなのですが、やはり働くのは人間ですから、仕事に求めるものや仕事のやりがい、価値観は人それぞれいろいろな物があります。
場所の制約が無くなることを「満員電車から解放されてラッキー」と思う人もいれば、「みんなに会えなくなって寂しい」という人もいます。
フリーアドレスで自席がない職場を「合理的」と思う人もいれば、「居場所がない」と感じる人もいます。
一人で作業することを「集中できる」「わずらわしさがない」という人もいれば、「活気が出ない」「相談できず不安」「サボってしまいそう」という人もいるでしょう。
やはり、制度や仕組みの整備とともに、働く人たちにその目的やメリットを理解、納得してもらい、不安をできるだけ取り除き、前向きな気持ちになれるように仕向けることも重要です。働き方が大きく変わるには、心の準備が必要です。もちろんこれを仕組みや運用の中でサポートすることも必要でしょうし、実際にやりながら試行錯誤する覚悟も必要だと思います。
ITシステムの導入、その他制度などの仕組み作りと、働く人の気持ちへの対応が両立してはじめて、新しいワークスタイルが多くの人に受け入れられていくのだと思います。