2012年12月14日金曜日

疑心暗鬼の組織


うまくいっている会社組織というのは、属しているみんながたいてい元気です。一部だけが元気でもうまくいくものではありません。

例えば経営者や上層部が元気な組織は、判断や決断が早い良さはありますが、現場の気持ちにかかわらず「ああしろ」「こうしろ」と強制する傾向が強いので、現場が指示待ちや思考停止に陥っていることがあります。
(私たちのような人事コンサルの立場では、やる気も元気もある経営者や責任者の方々からのご相談が多いので、このパターン、実は意外に多いです。)

中間管理職が元気な組織は、それぞれの管理者が自律的に動けて、より現場に近い判断で即決できる良さがありますが、自分たちの枠の中だけで解決しようとしがちなので、全体最適にはならないことがあります。上り調子の時は良くても、守勢に回って組織全体の結束が必要な時は弱さに直結します。

現場だけが元気な組織というのはあまり見たことがありませんが、あるとすれば現場は自分たちの意志で動いているが、組織的な統制が無い非効率な組織という事になるのでしょう。
良い組織であるためには、やはり組織全体がまんべんなく元気である必要があります。

組織が元気でいるための原点は、属している人たちがお互いに信頼し合っていることだと思います。いつ潰れるかわからない、いつクビになるかわからない、ハシゴを外されるかもしれない、裏切られるかもしれない、そんな“疑心暗鬼の組織”では元気でいることはできません。

業績不振の組織、人員整理やリストラ最中の組織、人間関係が悪い組織などがこの条件に当てはまってしまいます。業績不振とリストラと人間関係の悪化がつながったスパイラルは、組織が低迷に向かう典型的なパターンです。

疑心暗鬼の根本は周りが信用できないということで、裏を返せば自分しか信じられないということです。自分のことだけで精いっぱいで周りのことまで考える余裕がないために、人間関係が良くない方向に進んでいきます。そこでできる事と言えば、少しでも相手の立場を考えることしかありません。

・・・と簡単に言ってしまっていますが、これは余裕が無くなってしまった組織では、ものすごく難しいことです。人が周りに気を配れるようになるためには、自分自身に一定の気持ちの余裕が必要です。自分の明日が見えない人に、他人の事を気遣えるはずがありません。

疑心暗鬼のない元気な組織を作るためには、組織全体での気持ちの余裕を維持することが必要であり、そのためには企業として一定の業績を維持するという、本当に基本的な所に帰結します。
良い組織、良いチーム、良い会社にするために、組織に気持ちの余裕が必要であり、そのためにはやはり最低限の結果は必要になるということです。

私が組織づくりをお手伝いする中では、プロセスを見るように強調しなければならない場面が多いですが、きちんと結果を出していくことも同じように大切だということです。
「結果・成果」と「プロセス」とのバランスは、永遠のテーマのように感じています。


0 件のコメント:

コメントを投稿