2012年12月12日水曜日

人事制度作り―社内「主」、社外「従」がベスト


人事制度作りをお手伝いすることは私の専門の一つなので、こういうことを言うのはあまり適切でないかもしれませんが、人事制度構築を社内で完結できるならば、私はそれが一番好ましいと考えています。

なぜかというと、人事制度作りには、それこそ個々の社員がどんな性格で何をどう考えているか、何が得意で何が不得意か、誰が発言力や影響力を持っているか、今の状態に至るまでの様々な経緯など、社内事情すべてが関わってきますから、やはりそのあたりの事情を裏表も含めて一番わかっているはずの社内人材が携わる事がもっとも相応しいだろうということです。

よくコンサルティング会社に丸投げして人事制度作りをする会社がありますが、大金を投じて制度を作ったのに、結局自社にフィットせず、大した効果も得られず、改めて制度作りをやり直さざるを得なくなった、などという話を聞きます。これは決してコンサルティング会社に能力が無い訳でもサボっていた訳でもなく、人事制度の場合、社外人材だけに多くのことを任せるには限界がある、ということだと思います。

もちろん私も「人事制度を作ってほしい」という丸投げに近い依頼を受けることがあります。その際は事前の状況把握が最も重要で、様々なデータ分析や調査、ヒアリングを通じて出来る限りの実態把握に努めます。

ただ、いくら専門家で状況把握に長けているとは言っても、社内の人が蓄積してきた情報量にはかないません。またどうしても時間的制約がありますから、結果として窓口となっていて話す機会も多くなる経営者、役員、人事担当者個人の問題意識や、声が大きく印象に残る社員の意見に引きずられたり、現状に至った背景、風土、その他事情などが把握し切れなかったり、客観的な実態把握がやりきれない部分が出てきます。これが社外人材の限界なのだろうと思います。

一方、社内人材だけで人事制度作りを進めようとした場合、その難しさというのは、一つは社内常識に引きずられて状況把握に客観性を欠く場合があること、もう一つは処方箋を描く上での経験や引き出しが足りず、対策を誤る可能性があることの、大きくは二点になります。そしてこれらを補完することを考えると、我々コンサルタントのような社外人材の出番があるということになります。

人事制度作りについて、一番望ましいのは社員主導で社内検討する枠組みの中でうまくコンサルタントなどの社外専門家を活用するという形ではないかと思います。私も「協働」という中で、より良い物が提供していければと常々考えているところです。


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