2013年11月6日水曜日

不採用者ほど必要な気づかい


採用活動の中では、どんな企業でも「良い人に巡り合いたい」「優秀な人を採用した」という気持ちで取り組んでいると思います。ごく自然な感情でしょう。

ただ、人を採用しようとする中では、数十人の応募者に対して採用は数人というように、採用する人数以上の不採用者を出すことが多いのではないでしょうか。しかし、この不採用になった応募者への対応に気をつかっている会社というのは、案外少ないと感じます。

例えば、特に新卒採用などでありがちなのが、「合格の場合だけ連絡します」というものです。「ある期限までに連絡が無かったら、不合格だと思って下さい」ということで、不合格者には通知しないということですが、私はこれは大変に失礼なことだと思います。

まず、この「不合格者には通知しない」というのは、採用担当者の手間を省くということ以外に理由はなく、会社側の一方的な理由にしかすぎません。
しかし、採用試験への応募者というのは、わざわざ自社のことを調べ、労力も時間もお金も使ってわざわざ来てくれた人達です。こちらの都合で結果連絡すらしないというのは、あまりに礼を失していると思います。

もう一点、採用される人というのは、これから社員として時間をかけて関係作りをしていくことができる相手です。不平不満や誤解があったとしても、それを解消できるだけの時間的余裕があります。

これに対して、不採用者は社員ではありません。先方からのアクションが無い限り、何かあってもフォローすることはできませんし、あくまで社外の人ですから、将来の顧客や取引先になることをあり得ます。

そう考えると、実は不採用者に対する方が、より多くの気づかいをする必要があるということです。非礼や不満、誤解を解く機会はありませんから、そういうことが起こらないようにしなければなりません。誰が採用で誰が不採用になるかはわかりませんから、採用選考中の応募者には分け隔てなく、丁寧な接し方を心掛ける必要があります。

不採用者への気づかいというのは、例えば一般消費者を相手にしているような企業では、「応募者である前にお客様である」という意識が徹底しています。顧客対応に準じる小まめな対応をしています。

また、私が知っているある企業では、最終面接での不採用通知については、必ず不採用理由と評価していたポイントを記した手紙を送っているところがあります。本当に紙一重の差での判断であり、自社基準の勝手な判断なので、くれぐれも自信喪失をしないでほしいという気持ちを伝えたいからということです。またそういう姿勢は、採用活動全体を通じて応募者にも伝わり、会社への志望度を高める効果につながっています。

入社してくる「社員」にチヤホヤし、不採用にした「社外の人」をないがしろにするというのは、顧客に向けたビジネスをする姿勢としておかしいはずですが、採用活動では今でも平気で行われるところがあります。

今一度、自社の「不採用者への気づかい」を見直して頂けると良いと思います。


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