2016年10月31日月曜日

意外に熟練が必要と思った、ある身近な仕事



何げなく日常的に利用しているお店やサービスでも、そこで働く立場になると、利用しているときには気づかなかったことに出会うことは、結構多いのではないでしょうか。

つい先日、あるクリーニング店に行ったときのことです。私の前に一人のお年寄りがいて、“シルクの毛布”をクリーニングに出そうとしているようでした。

お店の受付の人は、最近入ったばかりの人らしく、いくらになるのかと値段をいろいろ調べています。どうも普通の毛布とシルクの毛布は値段が違うらしく、シルクの方が当然高いようなのですが、お客のお年寄りは「いつも使っていて古いものだし、前も普通の値段でやってもらったから、その時と同じで良い」と言っています。

お客からの確認を取ることで、そういう請け方はできるようでしたが、別の担当者に問い合わせの電話をしたり、しばらくやり取りをしていました。
たぶん、そんなことまで事細かく書いたマニュアルなどはないでしょうし、考えてみると、どの衣類をどんな請け方をすればよいのかということや、その顧客との過去からの関係など、結構知識と経験がいる仕事だと思いました。

他に、例えば保管してある衣類で、誰からの何がどこにあるというようなことも、お店の人はただ伝票番号だけで管理している訳ではなく、服の色や柄で覚えていて、ベテランの店員さんほど早く確実に探し当ててきます。
クリーニング店の受付のような仕事は、一見すればいかにも機械化できそうな仕事の代表のように思っていましたが、レアケースや機械的な判断だけでは対応できないことがある様子を知り、実は結構熟練が必要な仕事なのだと、ちょっと意外に思いました。

このところ、「10年後に無くなる仕事」といったような記事を見かけることがよくあります。読んでみると確かにそれなりの根拠があって、「まぁそうなんだろうな」と思うことも多いですが、このクリーニング店のような例を見ていると、逆に「人間でなければできない仕事」「機械化が難しい仕事」というのは、実は想像以上に多いのかもしれないと思います。

原則的に、単純作業というのはどんどん機械化され、人間がやることは減っていくのでしょうし、ビッグデータやAIなどの技術進歩によって、その流れは強くなっていくのかもしれません。
ただ、その中にも人間でなければできない仕事は残るのでしょうし、機械化が進んでいくおかげで新たに人間がやらなければならない仕事も出てくるのでしょう。

そう考えると、その時その時に自分ができることを考えて順応していけば、今の自分の仕事が「10年後に無くなる仕事」だったとしても、決して恐れる必要はありません。
過去の歴史を見ていても、技術の進歩や環境の変化によって起こるのは、ただ“失業”することではなく、“役割の変化”なのだと思います。
今やっている仕事が少なくなっていったとしても、それに代わる役割が必ず出てくるはずです。

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