2021年9月13日月曜日

「自発的行動」がやり方次第では困ること

指示待ちにもそれなりに理由があるという話は、以前書いたことがありますが、やっぱり「指示待ちは困る」という声は相変わらずのことです。

ある会社のマネージャーですが、一人のメンバーの女性のことで困っているそうです。「いちいち細かく指示を伝えないと、自分で考えて行動できない」というので、ある意味指示待ちと同じようですが、よく聞くと「余計なことに時間をかけていてとにかく仕事が遅い」そうです。

一つ一つの動きが遅く、並行して作業することが苦手なようで、手際の悪さはあるようです。また、最後にまとめてやればいい確認作業を途中で何度もしていたり、変更されることがわかっている書類をその都度印刷していたり、要はいちいち指示しないと、穴を掘っては埋め、そしてまた掘るような無駄な作業を、よく考えずに延々とやってしまうそうです。

確かにマネージャーの困る気持ちは理解できます

 

ただ、よく聞いていると、この女性メンバーの仕事ぶりは、問題点ばかりというわけではありません。まず、基本的に手を抜いたりサボったりすることはなく、どちらかというとそれほど重要ではないこと、無駄なことに時間をかけて、過剰にやっていることがほとんどです。

指示するとその通りの手順を守り、自分勝手にアレンジすることはありません。手際が悪いので時間がかかるという問題はありますが、「言われたことを言われた通りにサボらずにやる」という特性があります。

 

マネージャーは「もっと自分で考えて行動してほしい」といいますが、私はこのマネージャーに「自分で考えて行動される方が困ることがある」という話をしました。それは、その人が自分で考えて行動した結果が、こちらの意図とは必ずしも違うこともあり、それを正すのは「指示待ちの人を指導すること」以上に多大な労力を必要とするからです。

 

自発的行動をする行動力があるタイプの人は、仕事の進め方ではいろいろ自己アレンジをしますが、それがサボりや手抜きにつながっていることが、往々にして見受けられます。「効率の良さ」と「手抜き・サボり」は背中合わせなので、そこの判断基準を間違って自分で行動されると、直接的なトラブルにつながります。

さらに、こちらからの指示は守ったり守られなかったりします。その指示に対して「自分で考えて行動するから」です。命令違反として抑えつけることはできますが、それで行動が変わるとは限りません。指導し続ければ改善するかもしれませんが、思ったようには変わらないかもしれません。

こういう人材の育成は、マネージャーの仕事として取り組まなければならないことですが、目の前の仕事を確実にこなすということを優先して考えれば、「指示通りに動く」という人は頼れる存在になります。

 

「指示と同等の行動を自発的にできる」のはベストです。「指示されても行動できない」のは根本的な部分に問題があるでしょう。

ただ、「指示とは違う行動をする」と「指示されればその通り行動する」を比べれば、後者の方が圧倒的に好ましく、仕事ができる人と位置付けられます。

 

この話の結論は、「その人の能力、特性に合わせて指示したり考えさせたりすること」となりますが、こと「自発的行動」というのは、そのピントがずれていると仕事の上ではとても困ります。

「指示通り行動できる」という特性は、もう少し評価されてもよいのではないでしょうか。

 

 

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