2014年5月30日金曜日

今でも多々ある年功序列を引きずる会社


ここ最近、「年功序列の賃金制度を続けてきたが、さすがに立ち行かなくなりつつあるので改訂を考えたい」という企業からのご相談を、数社から続けて頂いています。
また、つい最近読んだあるコラムにグローバル人事の話が出ており、海外展開した企業が直面する課題として、日本国内と同じような長期雇用を前提とした年功的な人事制度を、そのまま持ち込んでいるために問題が起こっているという話が出ていました。

年功序列というと、私が関わる中では、もうすでにそこからは抜け出している企業がほとんどで、人事上の大きな課題として挙がることは少なくなっていましたが、ここへきて未だに取り上げられるということは、まだまだそこから抜けきれない会社も多いということなのだと思います。

年功制というのは決して悪いことばかりではなく、経験値と仕事のパフォーマンスの比例関係が強い仕事内容であれば、とても合理的であると思います。
確かどこか海外の銀行だったと思いますが、給料はすべて年齢で決まるというところがあり、その理由は「年を重ねて経験がある人の方が仕事ができるに決まっているから」ということでした。

ここまで割り切って考えられるならば良いですが、普通に考えると、定年までずっと右肩上がりで能力も自らの稼ぎも伸ばしていくということは難しく、たぶんどこかで頭打ち、もしくは低落傾向になるはずですから、長期雇用を前提とした長期的な貸し借りの中でなければ、年功序列というのは成り立ちづらいものです。

そういうことが言われ始めてから、かれこれ20年以上経つと思いますが、今でもその手の課題を持つ企業が多々あるということは、年功制ということがそれほど根づいている制度だったという証明でもあるでしょう。

実際に最近ご相談を頂く人事制度改訂の中には、年功的な要素をあらためてもう一度取り入れたいという要望もあります。やれ成果だ結果だと言い過ぎて、長い期間会社にいてくれて、地道にコツコツと働いてきてくれた人を評価してあげられないからというお話でした。

経済性を考えれば、年功序列が合理的でない企業が大半であることは確かだろうと思いますが、中にはそうでない企業もあるでしょうし、経済合理性だけではない部分で働き手に報いたいという企業があるのも事実です。その中には「長い間働いてくれて有り難う」という意味での年功序列もあるようです。

このように人事制度というのは、世間一般で言われていることが、必ずしもその会社にとって正解とは限りません。本当に各社各様だと思いますし、各社各様であることが当たり前だという意識も必要ではないかと思います。



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