2014年6月2日月曜日

「上が決めたことだから・・・」で本当に良いのか


いろいろな会社の方とお話をする中で、役員、管理職、一般社員の区別を問わず、「上が決めたことだから・・・」という言い方が出てくることが、思いのほかよくあります。
もう少し言葉を補足すると、「この決定を自分は納得できないけれど、上が決めたことだから従わざるを得ない」ということです。

私自身も組織に在籍していた時代にはそういうことがありましたし、基本的に組織というのはそういう性格のものだということも言えます。

その企業の風土によって、トップダウンとボトムアップのバランスというのはまちまちですが、「上が決めたことだから・・・」という発言が多いのは、やはりトップダウンの割合が高い企業です。

もちろんトップダウンの指示命令というのは、それがなければ組織とはいえませんから、当たり前のことではありますが、私が気になるのは、こういう企業では経営者以外のすべての人が、自分では決めようとしない、自分では考えないなど、要は思考停止のような傾向を見かける場合があることです。

これはボトムアップを認めない企業体質にも問題があるという反面、特に管理職クラスでは、このトップダウンであるということを、体よく利用しているようなところもあります。「自分が決めたことではない」といって、責任回避の言い訳にしているようなことです。
「意見を言っても変わらない」「自分が提案してもどうせ通らない」「結局決めるのは上の人」などという言葉が出てきますが、結局はすべて同じようなことです。

会社が求める理想の人材像として、「自律」というキーワードが挙がることはとても多いですが、この「自律」のために必要なのは、「自分で考えて自分で決めて、自分で実行して自分で責任を取る」というサイクルを繰り返していくことです。

ただ、トップダウンが強い企業であると、この「自分で考えて自分で決めて・・・」という部分が少ないために、「自分で実行する」というパワーが弱まり、「自分で責任を取る」という納得感が薄れます。社員が「自律」できない原因には、こんな悪循環があるのではないかと思います。

「うちの社員は自分で考えようとしない」「実行がなかなか伴わない」「リーダーシップを取ろうとしない」など、経営者からの悩みを聞くことは多いですが、中にはご本人が結果的にそのように仕向けてしまっていると思えることもあります。

社員の側でも、誰かが決めてくれることに慣れてしまっていて、それが楽だと思っていたり、経営者が納得しそうな提案しかしないような状態になっていることもあります。

「自分で考えて自分で決めて、自分で実行して自分で責任を取る」というサイクルを繰り返していくには、トップダウンとボトムアップにある程度のバランスが必要です。
もしも「上が決めたことだから・・・」という言葉が多いような印象があるならば、今一度そのバランスを見直してみる必要があると思います。


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