2014年6月4日水曜日

雇用環境が改善すれば、「残業代ゼロ」も良い形に進むかも


「残業代ゼロ政策」の話は、いろいろな方の意見を発言や記事などで目にします。

時間に応じた賃金支払いだけでは、確かに非効率な働き方を助長している面はあると思いますし、ホワイトカラー的な仕事の成果は、必ずしも労働時間に比例する訳ではありません。
ただ、その成果が何かというと、これを定量的に捉えるのはなかなか難しいですし、今の法規制のもとでも残業代の不払いが問題になっていることを考えると、セーフティーネットの整備を合わせて考えていかなければ、問題が多すぎるという感じがします。

また、「仕事は時間でなく成果」と言いながら、ほとんどの会社では定時出社で所定時間は会社にいることを求められるなど、時間と場所の制約を受けます。働き方の柔軟性を高めることも同時に行っていかなければ、制度を考える上では片手落ちではないかと思います。

私は「労働時間と成果は必ずしも比例しない」ということは確かだと思うので、制度として検討していくことは必要だと思います。
ただ、今の議論は経営者視点が強すぎる感じがします。この制度を導入するならば、もっと関連する周辺環境の整備について、議論を深めていく必要があるのではないかと思います。
対象を年収1000万以上にする、幹部候補や高度専門人材に限る、労使の合意を必須にするなど、様々な条件案が示されていますが、結局は会社の意向に従わざるを得ない場合が多いのではないかと思います。

少し話は変わって、建設現場や介護の現場、外食産業などでは、今は大変な人手不足になっています。募集条件を引き上げてもなかなか人が集まらないようです。
また、すでに働いている人との間での逆転現象も起こり、それに対する不公平感が問題になっているという話も聞きます。

こんな人手不足解消のために、外国人労働者の活用やIT活用による業務効率化、女性やシニア世代の雇用などの方法もありますが、これだけですべてを解決することはできません。少子高齢化による人口減少で、日本人の労働力人口は徐々に減っていきますから、景気動向に左右される面はありますが、人手不足の状況は今後も徐々に進んでいく可能性があります。

こうなってくると、労働条件や労働環境の悪い企業は、どんどん人が採用できなくなっていきます。俗に言われるブラック企業は存在できなくなるでしょうし、仕事内容のわりに賃金が安い企業は、人が採れないことで経営が難しくなります。
労働時間とのつながりが強い仕事なのに残業代がないとなれば、そこで働こうという人はいなくなるでしょうし、長時間労働の企業も敬遠されるでしょう。

企業側は人集めのために、給与アップや従業員満足を向上する施策を考え、非正規労働者を囲い込むために正社員化することもあるでしょう。残業不払いなどという問題も自然に解消されていってしまうのではないでしょうか。

こうやって挙げていくと、雇用環境の改善で働く側の力が強まると、今起こっている雇用に関する問題のほとんどが、実は解決に向かっていくのではないかと思うのです。
いま行われている「残業代ゼロ」の議論も、働く人たちにとってメリットがある形でないと、導入は難しくなっていくでしょうから、もう少しバランスが取れた議論になっていくのではないかと思います。

雇用環境の改善が、結局は様々な問題を解決に向ける効果が一番大きいのではないかと思います。


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