いろいろな調査の結果を見ていると、日本人は全般的に「仕事の満足度」が低い傾向にあるようです。しかし、それにもかかわらず、「今の会社に勤め続ける」という人の比率も多いようです。
転職がままならない雇用環境などという要因もあるでしょうが、仕事観として、自分の意志に関わらず、会社から与えられた仕事を義務としてこなすというような、「やるべきこと」を重視しているという印象を持ちます。
もしも、会社から与えられた「やるべきこと」と、自分の「やりたいこと」が合致していたとすれば、仕事の満足感は当然高まるはずです。
自社の中で自分の「やりたいこと」に巡り合い、その仕事に関わることができている人も大勢いると思いますが、私が企業で働く多くの人たちにお話をうかがっていると、この「やりたいこと」と「やるべきこと」の距離の平均値は、年々広がってきているように感じます。
会社という限定された環境で、なおかつ今の厳しいビジネス環境の中で、自分の「やりたいこと」に出会うというのは、なかなか難しいことなのかもしれません。
転職や起業という選択をする人は、もちろん必要に迫られてという場合もあるでしょうが、この「やるべきこと」よりも「やりたいこと」を重視した上での行動だろうと思います。
かく言う私も自営業ですが、やはり「やりたいこと」を重視した結果から、今の立場があります。企業勤務の時代に比べれば、それなりに大変な面はありますが、「やるべきこと」と「やりたいこと」の距離は比較的近いので、仕事の満足感はたぶん高い方だろうと思います。
ただ、転職や起業をしたからといって、仕事の満足感が高い人ばかりかというと、必ずしもそうではないようです。
例えば、転職後に任された業務内容や、独立後に依頼される仕事内容が、自分の「やりたいこと」とは違っていると嘆いている人がいます。以前と同じように、「やりたいこと」と「やるべきこと」の距離が遠いということです。
こういう人たちに対して私が思うのは、「やりたいこと」と「できること」の距離が遠いのではないかということです。本人の自覚としては「やりたいこと」と「できること」は合致しているのに、周りから見るとそうではないという状況です。
「やりたいこと」と「やるべきこと」を一致させるには、運や偶然の出会いにも左右されますから、自分の力だけではいかんともしがたいところがあります。
しかし「やりたいこと」と「できること」の距離は、自分の意識次第で把握することができます。またそれが自覚できていなければ、自分の「やりたいこと」にはなかなか到達しないのではないでしょうか。
「やりたいこと」と「やるべきこと」と「できること」が一致していることが望ましいのだとすれば、まずそのためには、「やりたいこと」と「できること」の認識ギャップを埋めることがスタートになるのではないかと思います。
自分の「できること」を「やりたいこと」に近づけていく努力が、実は大事だと思っているところです。
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