2014年12月17日水曜日

「人」に関する戦略と実行が縦割りにされる弊害



最近、人手不足の問題をあちこちの企業から聞くようになりました。
私はIT業界にかかわりが深いので、そこから話を聞くことが多いですが、最近の技術者不足の傾向はかなり顕著なようで、プロジェクトの要員体制を組もうにも、なかなか思い通りに行かないことが多いようです。案件はたくさんあるが、やる人がいないという状況のようです。建設関係の業界の方からも、同じような状況のお話を聞きます。

人材動向をマクロ的な視点で見ると、状況が大きく変わってくることは明らかです。
国内で見れば少子高齢化ですし、人口も減少に転じていますから、日本人の労働力は徐々に減っていきます。そもそも日本人の中に若手がいなくなっていきますから、今までのように新卒採用で生え抜きを育てるような方法は徐々に難しくなっていきます。これは中途採用でも同様で、少なくても今までのような「業務経験がある30歳前後の若手」などという採用基準はもう成り立ちません。

不足する人材の穴埋めをどうするかを考えていかなけれななりませんが、これには女性や高齢者の活躍推進、外国人の登用、ITを活用した省力化や自動化など様々な方法が考えられ、しかもそれを業界動向や市場動向、自社の状況などに合わせて組み合わせていく必要があります。

より良い仕事内容とより良い職場環境を整備して、人材を引き抜くことができるような企業競争力をつけることも必要でしょうし、未経験者でも早期に戦力化できるような育成ノウハウも必要でしょう。IT化に向けた投資や海外人材の受け入れ態勢も、必要になってくることがあるでしょう。

中長期的な視野で、「人」という経営資源をどうしていくかという、俗にいう“人事戦略”が重要になってくるということで、これは企業規模を問わず、どんな会社でも同じだと思います。

しかしこういう話を、比較的企業規模が大きい、いくつかの中堅企業の人事の方々へしたときに言われたのは、「それは人事部門の仕事の範疇ではない」ということでした。

ある会社では「それは経営企画の仕事だ」と言い、ある会社では「役員クラスが考えることだ」と言います。では人事部門が何をするのかと尋ねると、しいて言えば今期来期あたりの採用目標数や研修の企画を決めることぐらいで、中には「現場の要望を集めてそれを合算するだけ」というような企業もありました。あくまで現場で作業する実行部隊という認識のようでした。

私は企業の人事戦略作りとその実行をお手伝いすることがあります。
うまく進めるためには、戦略を立ててそれを実行しながら直していくということが大切になりますから、戦略の企画と実行が近い距離にあることが必要になります。

しかし、、そういう体制が取られている企業は、実はあまり多くありません。企画部隊と実行部隊は分離されていることがほとんどです。
相応の規模の会社であれば、先に述べたように部門で縦割りにされていますし、小さな会社であっても、社長が指示して担当者はそれを実行しているだけというようなことが多いです。

CEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)、CIO(最高情報責任者)と同じような位置づけで、人事の責任者をCHO(最高人事責任者)と呼ぶことがあります。
まだまだ一般に認知されているとは言い難いですが、今後の「人」に関わる戦略の重要性を考えると、このCHOのように全体に目を配るという位置づけは、これから必要性が高まってくると思いますし、私たちがすでにこういう形でご支援するような企業も出てきています。

「人」に関する課題は、時間がかかるものも多いです。そろそろ準備が必要な頃ではないでしょうか。

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