2015年5月8日金曜日

自分の「上げ底」がどのくらいかを、自分でわかっているか?


たまたま見ていたテレビ番組で、無人島で自給自足生活をしているタレントさんのことを取り上げていました。

そのタレントさんが、自給自足生活を始めようと考えたきっかけを問われた時に、「芸能生活を長く続けていると、自分の実力以上の“上げ底”で生活をしていることにだんだん気づいてくる」「上げ底の生活ではなく、自分で作れないものは無しにする、自分で作る生活をしようと思った」と答えていました。

私は、自給自足生活にはそれほど興味はありませんでしたが、この「上げ底」という言葉に反応してしまいました。私自身、自分の実力として自覚していることが、上げ底なのかそれとも過小なのか、本当に自分の実力相応がわかっているのだろうかと、考えることが多かったからです。

こういう話でよく言われるのは、有名企業の重役が会社を退職したり、肩書が変わったりした途端に、周りから人が離れていったというようなことがあります。
私自身も、在籍していた会社での部長職から、会社を辞めて独立した時は、それほど極端ではありませんでしたが、周囲にいる人の態度が変わったと感じることが何度かありました。

当然なことではありますが、会社にいれば、肩書や公の立場に基づいての付き合いと、個人的な関係としての付き合いがあります。
今付き合っている関係が仕事上の関係なのか、それを越えた個人的な関係なのかは、自分なりに区別していたつもりですが、個人的な信頼関係を作ることができていると思っていた相手でも、結局疎遠になってしまうような人が、自分が思っていたよりは大勢いました。

私の人格を認めていない訳ではなかったでしょうが、あくまでその会社の人事部長として付き合っていたということで、こちらが思っているほど、自分の実力で付き合ってもらっていたわけではないということです。自分は謙虚に思っていたつもりでも、結局は過大評価だったということで、「自分の実力はこの程度なんだ」と、自らの上げ底度合いにがっかりした記憶があります。

私の場合は、自分の会社がそれほど有名企業という訳ではなかったので、そこまで極端な上げ底にはなっていませんでしたが、もしも会社ブランドがもっと強かったとしたら、さらに自分の上げ底度合を見誤っていただろうと思います。

組織の中にいて、その中で年次を重ね、立場が上になって行けば行くほど、周りの人から担がれている上げ底の部分と、自分の本当の実力部分との間の区別がつけづらくなっていくように思います。

私の周りには、同じように独立して仕事をしている人がたくさんいますが、特に起業したての人には、前職の会社ブランドによる自分の上げ底度合いがわかっておらず、実力を勘違いしているように思えてしまう人がいます。

私も自力で仕事をするようになってからしばらく時間が経ち、“上げ底”はほぼなくなったと思いますが、それでも自分の実力をきちんと把握できているかといえば、まだまだ足りないと感じることもあります。

自分の実力を客観視すること、特に「上げ底」になっている過大評価の部分は、自覚する努力が必要だと思います。


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