電通総研が、週3日以上働いている18~29歳の男女計3000人を対象に行った、若者の現在の働き方、働く目的、働くことに対する意識調査によると、働くことへの意識については、「働くのは当たり前」という回答が約4割だったのに対して、「できれば働きたくない」との回答も3割に達したとのことです。
また、働く目的については、約7割の人が「安定した収入のため」と答えていて、仕事は生活のためと割り切る傾向が鮮明になっているとのことでした。
この結果を見て、何か危機感を持つ人もいるのかもしれません。「今の若者は甘い」「仕事の意味を分かっていない」「先が思いやられる」などと、否定的な感情を持つ人もきっといるのでしょう。
ただ私はこの結果を見ても、「まぁそんなものだろう」と当然のことのように思います。その理由は簡単で、私自身がこの世代の頃に、この結果で挙げられている「できれば働きたくない」「仕事は生活のため」と思っていたからです。
なぜそう思うようになったのか、考えてみたところでの理由は一つだけ、それは子供の頃に「楽しそうに働いている大人をあまり見たことがなかったから」ではないかと思います。
多くの人がそうだと思いますが、子供の頃の一番身近な社会人は両親だと思います。
私の父は、内科の勤務医という専門職だったので、一般的なサラリーマンとは少し違うかもしれませんが、宿直勤務があったり、夜中に急患で呼び出されたり、とにかく大変そうな仕事だと思って見ていました。仕事に取り組む姿は尊敬していましたが、楽しそうに働いているとは見えなかったですし、子供からみて、本人のやりがいなどは理解しようもありませんでした。
そんな自分が就職しなければならない時期に思っていたのは、やはり「できれば働きたくない」ということでした。自分がやりたくないことでも、それを業務命令で強制的にやらされるのが仕事で、そんなものが面白いはずがないと思っていました。
多くの家庭で、子供の目から見た両親の仕事ぶりは、たぶん朝早くから出かけ、夜遅くに疲れた表情で帰ってきて、たまに仕事の話をしてくれたとしても、つらくて大変だという内容が多いのではないでしょうか。一緒に旅行に行ったり遊んたりしているときの両親は楽しそうなのに、仕事からはそういう様子が感じられず、そんな姿を見ていれば、自然に「できれば働きたくない」となってしまうように思います。
こういう調査結果が出ても、私は特に驚きはありませんし、危機感もありません。たぶんこれからイヤイヤでも社会に出て仕事をし始めれば、気持ちはいろいろ変わっていきます。
私自身、今は昔とまったく違うメンタリティーになっていますが、それはいろいろな経験をする中で変わってきたことであり、自分で独立したことは、一つの大きなきっかけになっています。
もしも「できれば働きたくない」「仕事は生活のため」という考え方がが変わらなかったとしても、そういう人が、特に無能という訳ではありません。そのまま仕事と取り組んでもらえば良いことです。
もしもこういう意識に対して危機感を持ち、それを変えたいというのであれば、方法はただ一つ、「楽しそうに働いている大人を増やす」ということです。
そもそも、みんながみんな、そんなに勤労意欲にあふれている訳がありません。若者だけでなく、「できれば働きたくない」という中高年もたくさんいるでしょうし、それが人間の本質という部分もあります。
どうもこの手の話は、「今どきの若者批判」と結び付けられて語られがちです。そんな扱いにならなければよいと思っています。
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