2015年8月17日月曜日

「計画」に力を入れ過ぎるマイナス


最近いくつかの会社の方々から、「計画作りの作業が大変だ」という話を聞きました。9月が半期の区切りという会社も多いと思いますが、上期の状況を見た上での年度計画の見直し、下期の活動計画といったことを指して言っているようです。

年度初めや決算期、その他区切りの時期は、様々な計画作りや見直しをする時期だろうと思います。その中身は、事業計画、予算計画、生産計画、人員計画、教育計画、その他いろいろなものがあるでしょう。
私がお話を聞いている限りでは、どちらかといえば大手企業や社歴の長い老舗企業の方が、計画作りを早い時期から始め、時間をかけて行う傾向があるように思います。

そうやって計画作りをすること自体は、事業を進めていく上では当然必要なことだと思います。
“計画的”の反対語を考えると、“無計画”、“突発的”、“場当たり的”などとなりますから、良いイメージの言葉ではありません。計画を立てて行動することを、悪く言われることもあまりないでしょう。

ただ、今のビジネス環境から考えると、「計画をすることに力を入れ過ぎていないか」と感じる場面を見かけることが多々あります。時間をかけて緻密に計画をすればするほど、現場の環境変化の速さについて行けなくなっているように思うのです。

一見よさそうに見える“計画的”ということも、それに力を入れ過ぎることによるマイナスがあります。
まず、かなりの時間をかけ、大変な思いをして作った計画であればあるほど、それを変えたくないという心理が働きます。「また大変な思いをしたくない」とか「あれだけ時間をかけたのだから」となってしまうのは当然だと思いますが、それはすでに状況が変わっているにもかかわらず、もともと決めたことを守り通そうとしているということなので、目標達成に向けては確実にマイナスです。

また、そもそも計画というものは、これからどうなるかわからない将来の見えないものを見ようとしていることなので、必ず予想や推測が入る訳ですが、ここでは過去実績や前年比といった情報が使われ、これを参考にすることも多いでしょう。
ただ、こういうことをやり続けていると、過去からの情報や数字の意味を考えなくなったり、まず数字ありきの本末転倒な計画になったりしがちです。「計画の形骸化」ということです。
 
計画することに労力を使いすぎると、このように変化に対応しづらくなり、最も大事な実行フェーズでの余力がなくなってしまいます。

カーナビに例えれば、出発前に多くの情報を集めて最適ルートを設定したからと言って、それをかたくなに守ろうとしているようなことです。ただ、最近のカーナビには、渋滞情報などをリアルタイムで監視しながら、最適ルートが変わると直ちに新しいルートにリルートするような機能もついています。
出発後であっても常に見直しを続けているということであり、“計画”と“実行”の理想的な関係は、実際にはこんな形ではないかと思います。

プロスキーヤーの佐々木明氏が、あるウェブサイト上に書いていた記事の中に、「無計画とはゴールの方角だけ決めて、そこまでの道をその都度決めて進んで行くこと」という言葉がありました。

今の時代に必要な“計画”というのは、実はこの“無計画”に近いのかもしれません。


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