2015年8月19日水曜日

「私語厳禁」の職場を見ていて感じたこと



仕事中の私語、あなたはどう思われますか?

職場の雰囲気を和ませるような、ほどほどの内容のものを、ほどほどの時間で行うなら、一概に悪いものだという印象ではないでしょう。

ただ、中には、いつまでもダラダラと話し続けるまったく時間のケジメが無いもの、仲間や会社の悪口や、不快に思う人もいるであろう下品な話などの不適切な内容のもの、その他困るようなことはあるでしょう。
リーダーやマネージャーの立場であれば、できるだけ自由にさせてやろうとは思っても、度が過ぎていて注意せざるを得ないようなこともあると思います。また、その対処のしかたには個人差もあったりして、なかなか難しいことがあるのではないでしょうか。

真面目に考えると、扱いが一筋縄ではいかない「仕事中の私語」ですが、私がうかがう機会があったある会社で、仕事中の「私語厳禁」というところがありました

システムの保守・運用系の会社で、その中のある部署でしたが、そこの部門長が決めたことだったようです。
その部門の仕事内容としては、確かに継続的な集中力が必要で、私語をしていることはあまり好ましくなさそうな感じはします。

ただ、工場のラインのように黙々と作業するような配置になっている訳でもなく、すぐ隣に人がいる一般的なオフィス環境の中であるにもかかわらず、少しでも話をしている様子が見られると、部門長自ら飛んで行ってすぐに注意をしてやめさせます。
私語の禁止を始めたばかりの頃は、「仕事の話をしている」と反発する者もいたようですが、「そういう話は会議か打ち合わせの時に済ませろ」と問答無用の対応です。

その結果、私が知っている一般的な会社からすれば、ちょっと驚くような静けさですが、この部門長は、あくまでそれが当然という考え方のようです。
こんな様子を見ている中で、気になったことがあります。やはり、社員同士のコミュニケーションの総量が、圧倒的に少ないということです。
お昼休みに入ってこれから食事というような時でも、お互いに会話を交わさず、個別にぞろぞろ移動していきます。
仕事が終わってからの帰り道でも、みんな何となく口数が少なく、端から見れば気持ちが沈んでいるように見えます。

当の本人たちは、あまり自覚していないようですが、一日の大半である就業時間を無言で過ごしている訳ですから、とにかく話をしないことに慣れてしまっているように見えるのです。

私がこれを見ていて思ったのは、コミュニケーションを極端に制限すると、不要なものや大事でないものばかりが減る訳ではなく、必要なものも大事なものも、同じように減っていってしまうということです。コミュニケーションが減れば、お互いが意思疎通をしなくなり、仕事上の協力関係も減り、ミスや行き違いが増えます。

こう考えると、仕事中の私語もある意味での必要悪として、状況に応じてうまく活用していくことが、一番利口な方法のように思います。
良し悪しの線引きが難しいですが、「私語厳禁」の会社の様子を見ていると、適度な私語も必要なのではないでしょうか。


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