2018年9月20日木曜日

「寄り道人材」とそれを受け入れる企業が増えていること


新卒採用に関して、留年、休学、浪人、その他人生の回り道をして、新卒での就職を急がない人たちが出てきており、企業側でもこの「寄り道人材」を対象にした募集活動を始めるなど、横並びの新卒一括採用が変化しはじめているとの記事がありました。

記事の中では、中学から常に成績トップで、東大に現役合格してそのまま大学院に進もうとしていたが、急に降ってわいた「やりたくない」の気持ちから休学し、「1年後は未定」という人や、自ら生計を立てて自分に向き合いたいと大学を休学してアルバイトに集中している人は、「いずれ大学には戻るつもり」で「焦りはあるが祭りのような就活に入っていくのが怖い」と言っています。
他にも起業、社会活動、海外生活など、学校卒業と同時に会社に就職するという従来ルートを選ばない人が増えているそうです。

今まで新卒採用をしてきた企業側担当者の感覚でいうと、30歳近くで社会人経験がないとなれば、それをプラスに捉えることは、よほどでなければありません。
しかし、その感覚は「新卒一括採用」の前提があればこそで、もしそうでなくなったとしたら、その人のいろいろな部分を、先入観にとらわれずもっとフラットに見なければなりません。

学生も、今までのように、新卒一括採用に乗り遅れると急激に就職が難しくなることがなくなれば、学生生活での選択肢は増えていくでしょう。休学、留年、浪人、さらに留学や他大学に入り直すなど、ただ年次が遅れたことだけで不利な扱いをされたり、その期間に取り組んだ内容が評価されなかったりということはなくなります。

新卒一括採用は、採用活動やその後の教育をまとめておこなうことの効率性、同期のつながりを作るなどのメリットがありますが、人数が充足できない、入社しても辞めてしまうとなると、そのメリットは薄れていきます。特に中小企業では、今まさにそういう状況になっています。

私がいろいろな企業の方々と話していて、今でもやはり「新卒採用」に関する信仰があちこちにあります。新卒の方が中途採用よりも「素直で吸収力がある」「自社の風土になじみやすい」「定着率が良い」などといいますが、素直さや吸収力は個人差ですし、なじみやすいのも本人たちが他に比較対象を持っていないからそう見えるだけかもしれませんし、大卒の3割が3年以内に辞めると言われますから、定着が良いとも言い切れません。

つい先日、就活ルールの廃止に言及する話題がありましたが、基本的には新卒採用の通年化を念頭に置いた話で、この「寄り道人材」の動きとも合致する話です。

私自身は、今まで新卒一括採用が当たり前の中で来ましたが、今の流れを見ていると、実はこ知らの方が自然な姿ではないかと思っています。
みんなが同じような時期に、同じような服装で、同じような活動をして就職するというのは、よく考えれば異様ですし、それは終身雇用という前提があればこそ成り立つものです。
みんな一緒は確かに効率的ですが、レールに乗った大多数の人と同じ経験が、良いことばかりとは限りません。やり直しや敗者復活は、今の方が確実にやりやすいでしょう。

人と同じが心地良く安心な人はたくさんいますが、人それぞれの人生、画一的にまとめようとするのは、やはり無理があります。
いろいろな経験を企業が受け入れようとする動きは、私は良いことだと思います。

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