2020年9月3日木曜日

「新しいものの便利さ」と「慣れることの面倒くささ」

最近、年配の人たちにスマホへの乗り換えを勧めるキャンペーンをよく目にします。ガラケーがいずれサービス終了になるという事情もあるでしょうが、「新しいものに慣れるのに時間がかかる」「使い慣れたものがいい」といって乗り換えを嫌う人は多いようで、様々な優待条件やサポートで移行を進めようとしています。

「新しいものの便利さ」よりも「慣れることの面倒くささ」がまさっているということでしょうが、個人差はあっても、年齢とともに新しいものに順応する力が落ちて行ってしまうのは、どうしようもないことのようです。

 

私自身は、まだ新しいものを便利だと思い、慣れるまでの不自由も特になく、面白がって使っている方ですが、同世代でもITや機械は本当に苦手だという人がいます。そういう人でも昔からそこまでダメだったわけではないので、やはり年齢とともに順応できなくなっていくのは、誰でも同じなのでしょう。私もいずれは「便利さ」を「面倒くささ」が逆転する時期が来るのでしょうか。

 

このコロナ禍によって、日本全体で「デジタル化」「IT化」が、ものすごく遅れているということが明らかになってしまいました。「諸外国に比べて日本の労働生産性は低い」と言われるようになってからずいぶん経ちますが、国民性とか職業観とか、他にもいろいろな原因が言われてきた中で、私はこの「デジタル化の遅れ」が、実は一番大きな問題だったのではないかと思い始めています。このことが、仕事の進め方に、様々な非効率と悪影響をもたらしています。

 

ここ最近は、リモートワークがらみの環境整備を中心として、仕事の中でのデジタル活用の比率が急激に高まっているように感じますが、相変わらず「元に戻したい」という声を聞きます。私が見る限りでの声の主は、「慣れることの面倒くささ」がまさっていると思われる、年齢が上のベテランの人たちです。 

そういう人たちでも、これから昔のままで元に戻ることがないとわかれば、どんなに面倒でも新しいものに順応していくしかありません。そうは言っても、中には能力的に難しい人も出てくるのでしょう。

 

なぜ日本の「デジタル化」「IT化」が遅れたのかを考えると、この「元に戻したい」と言っている人たちの心情が、そのまま反映された結果ではないかと思っています。

長く続いて今でも残る「年功序列」の社会環境で、「新しいものの便利さ」よりも「慣れることの面倒くささ」を感じやすい年齢層が各所でリーダーシップを取っていて、そういう人たちの感覚で「デジタル化」の優先度は下がって後回しにされ、結果として多数の非効率な仕組みやしきたりが温存されてきたのではないでしょうか。

 

これからの指導者、経営者、その他リーダーは、「新しいものの便利さ」を理解していて、自分でもどんどん使っていく能力のある人でなければ務まりません。

もしもその能力が、年齢とともに衰えていくのが避けられないことで、その状況を本人が自覚したならば、能力を持っている後進に、役割を任せていかなければなりません。

今まで以上に、「リーダーの若返り」が重要な時代になっているのではないでしょうか。

 

 

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