2023年2月20日月曜日

機嫌の良い上司、悪い上司

 先日、ある企業で働く女性との雑談の中で、「仕事が大変」「つらい」という話が出てきました。

よく聞くことがある話の感じもしますが、「何がつらいのか」と尋ねてみると、たった一言「上司に対するストレス」「パワハラ」だといいます。もう少し細かく聞くと、世間一般でイメージするようなパワハラとは少し違った話でした。

 

問題は「上司のご機嫌」だそうで、とにかく顔色をうかがいながらコミュニケーションを取らなければならないことが多いといいます。タイミングを間違えると「今は話しかけないで!」などとコミュニケーションを拒否されることが度々あるといい、当然ですが、指示を仰いだり確認事項があったりしても滞ってしまって、仕事は進まなくなります。上司の機嫌の良し悪しを気にしなければならないことが、大きなストレスになっているそうです。

 

この上司は、決して気が強かったり横柄に威張っていたりするわけではなく、こちらが強く出ると、急に謝ったりすねたりするなど、いずれにしても面倒な反応が返ってくるといいます。どちらかといえば気が小さいような人だそうで、自分より上役に対してはペコペコしているなど弱く、自分から積極的に動くことも少ないそうです。話を聞く限りでは、単純に自分の感情をコントロールする力が足りない人という感じがします。

 

私は企業におけるリーダー素養の一つとして、「いつでも機嫌が良いこと」は大事なことだと思っています。

もちろん組織の目的やミッションによって、強さや威厳を示さなければならないリーダーはいますが、企業の中でのリーダーには、必ずしもそれは必要ないと思います。大事なのは「円滑なコミュニケーションをとる力」で、「いつも機嫌が良い人」というのはそのために重要な要素です。

 

例えば、必要な情報を早く得るためには、「周りが話しかけづらい雰囲気」というのは好ましくありません。いつも機嫌がよくて、できれば明るくて、何でも話しかけやすい上司の方がコミュニケーションを取りやすく、その結果として良い情報も悪い情報も集まりやすく、その情報を得るために要する時間も早くなります。

誰でも不機嫌な時はありますが、特に男性の場合は年齢を重ねていくほどに、本人は普通の顔をしているつもりでも、周りから見ると表情や態度が怖く不機嫌に見えるそうです。肌のたるみとかシワとか加齢でどうしようもないことはありますが、椅子の座り方や腕組みなど、本人は無意識でも威圧感を与えていることがあります。他人からどう見えているかを、あえて意識することも必要でしょう。

 

私の知人に、いつ会っても常に機嫌のよい人がいます。いつも口角が上がっていて表情が明るく、誰にでも分け隔てなく話しかけ、人の悪口を言うところを見たことがありません。年齢や性別を問わずに友人が多く、人を介していろいろな情報が素早く集まってきます。良いことでは先行者利益などで得をすることが多く、悪いことには早くから対応できて傷を負わずに済みます。

 

企業内のリーダーにとって、「いつでもご機嫌」というのは重要な要素です。機嫌が悪くてもそれを表情には出さず、平常心を保つ理性が必要です。

そういうことが、実は仕事の成果にもつながっているように思います。

 

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