2023年8月7日月曜日

契約したらきっと「パワハラ的」だったと思われる会社の話

 私が独立して仕事をするようになって16年目になりますが、幸いなことに「困ったクライアント」には出会ったことがありません。

しかし、他の人に話を聞くと、意外に困った経験をしている人が多くいます。

 

最も悪質でひどいのは報酬の踏み倒しですが、例えば事業再生など企業のマイナスを食い止めるような仕事をしている人は、結構そういう目にあっている話を聞きます。基本的にお金がない会社、負債がある会社との取引なので、そういうトラブルに巻き込まれやすいのでしょう。

 

もう一つの困りごとは、様々な形で「パワハラ的」な振る舞いをする会社です。多いのは契約にない無償労働の強要とか、事後の一方的な値切りとか、脅しやマウントを取るといったような、まさにパワハラの王道のような話もあります。

 

なぜ私がこういう困ったクライアントに出会わなかったかというと、確かに運はありますが、そういう様子がありそうなクライアントとは、仕事の話があっても断ってきたからです。

 

まず、私の場合は専門分野が人事や組織の改革改善なので、そういうニーズがあるのはビジネスが伸びていて真面目に組織を作ろうと考えている会社です。成長している会社なので、不払いなどの金銭トラブルになる心配はほぼありません。たまにリストラ的な話が来ることはありますが、私の専門ではないので仕事を請けることはありません。

 

もう一つの「パワハラ的」なところでは、相手とやり取りしている中での自分の勘のようなものがあります。単純なものでは、交渉相手が何とか強い立場を取ろうと駆け引きをしてくるときです。強く出たり、反対に急におだてたり、高額報酬の話をしてきたかと思えば、その前段は無償でやるべきだと言ってきたり、ごくまれに恫喝のような態度を取られることもありました。

私の仕事は、お互いのパートナーシップで協働することが重要なので、駆け引きが必要になるような関係では成り立ちません。お話をいただいても結果的にお断りすることになります。

 

なぜこんな話をするかと言うと、某大手中古車販売会社の「パワハラ」の話が連日話題になり、さらに不動産や金融など、他の業種でも同じような経験をした人の話がたくさん出てくるようになり、なぜそんなことが普通に行われて、しかもそれに耐えている人がなぜこんなに大勢いるのだろうかと考えていたことがあります。

 

たぶん私のように、危うい相手を事前に気づく人はきっと大勢いて、ただし自分の上司は私が契約先を選別するように選ぶ自由はなく、解決するには社内異動を待つか転職するかのいずれかしかありません。それまでの一定期間は「パワハラ的」なものを受け入れざるを得ない環境に置かれてしまいます。やはり会社と社員の間には力関係の問題があります。

 

ただ、これから先は少し様子が変わってくるかもしれません。人材の売り手市場が普通となり、転職先の選択肢は増えていくでしょう。それがしやすい環境が進めば、あえて「パワハラ的」な理不尽を我慢しながら働き続ける必要はなくなります。そこで働く人がいなければ、おかしなことをする会社は淘汰されていきます。パワハラが市場原理の中でマイナスであれば、それをするところは減っていくでしょう。私がクライアントを選ぶのと同じことができるようになります。

 

パワハラが起こるのは、それにつながるメリットが何かあるからです。個人の感情を満たすことや会社の利益になることなどいろいろですが、そんなメリットがなくなって逆に損することが増えれば、おかしな行為はかなり減らすことができそうです。すべてなくすのは無理でも、ずいぶん良くなる感じがします。対等な関係というのは、やっぱり重要なことだと思います。

 

 

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