2023年9月4日月曜日

安易な「二分割思考」に陥らないために

 「二分割思考」と言われるものがあります。

好きか嫌いか、敵か味方か、良いか悪いかなど、白黒をはっきり区別して、どちらかの極端に捉えてしまう考え方です。 6、7割くらいのほどほどなことや、白でも黒でもないグレーなことは認められないという、完全主義的な考え方でもあります。

 

最近目にした記事によれば、加齢とともに、この「二分割思考」にとらわれやすくなる傾向があるそうです。理由は前頭葉の萎縮が進んでいくためだそうで、前頭葉が衰えると無意識のうちに物事の決めつけが激しくなり、白か黒か、善か悪かで考えやすくなるそうです。

例えば、長年親しく付き合ってきた友人でも、ささいな誤解や行き違いから決裂して疎遠になってしまうようなことが起こるのは、こんなところに一因があるそうです。

自分が完璧主義者になりやすく、他人を敵に回しやすくなるので、孤立しやすくなるとも言います。思考の偏りが強いためうつを発症しやすく、かかると治りにくい傾向があるといいます。

 

このことは加齢だから仕方がないということではなく、「二分割思考」に陥らない思考法を身につけることで、防止や緩和ができるそうです。

それは「曖昧さへの耐性」で、グレーな部分があることを認めていくことだといいます。

「3割は自分と違うが、7割は同じ」「嫌なこというが、よいところもある人」などと思うことで、相手にいちいち腹を立てずに済みます。思考のグレーの度合いをその時に応じて柔軟に変えていけると、心が成熟していると言えるそうです。

このように「二分割思考」に陥るのは、あまり良いことがなさそうに思えますが、最近は加齢などと関係なく、白か黒か、敵か味方かという極端な議論がされるケースが多いように感じます。

例えば企業内でも、どうも話が一方的で適切な議論がされているのか疑問に感じることがあります。そんな時に議論の様子を聞いてみると、声の大きい一部の意見だけで話が進められていたり、上司が一方的に指示していたり、安易に多数決で決めていたりします。グレーな部分を明らかにして埋めようとはしていなかったり、多様な考え方を調整しようとしていなかったりすることが往々にしてあります。

どちらかというと、グレーな部分を認めないという「二分割思考」を、若いうちから訓練しているようにも見えてしまいます。

 

「二分割思考」の一因に、加齢による前頭葉の衰えがあるとのことでしたが、今の様子を見ていると、白か黒かで考えることが普通になっていて、グレーさや多様さを受け入れたり判断したりする経験が少ないため、そもそも前頭葉が未熟なのではないかと思うことがあります。

極端な思考が敵を作り、孤立を生んでしまうのは、特に同じ組織の中ではまったく好ましいことではありません。

 

今のように情報が大量で多様な時代だからこそ、グレーな部分を認めて受け入れていく「曖昧さへの耐性」が重要になっているように思います。

 

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