2023年9月11日月曜日

「2-6―2の法則」のとらえ方の話

 「2-6-2の法則」とは、組織や集団において、優秀とされる人が2割、中くらいもしくは普通の人が6割、成績不振や働かないなど、パフォーマンスが悪い人が残り2割の割合で存在するというものです。明確な裏付けがあるのかはわかりませんが、多くの人が経験的に納得しているようなところがあります。

 

この法則は、「働きアリの法則」とも言われることがあります。働きアリの集団を観察していると、よく働くアリが2割、ほとんど何もせず働いていないアリが2割程度、残りの6割が普通程度の働きで、この集団から働かない2割のアリを排除しても、残ったアリからまた2割程度の働かないアリが現れることから、集団の中でのバランスの根拠のように扱われています。

様々な会社の経営者や管理者の中には、この法則から2割の戦力外がいるのは仕方がなくあきらめるしかない、上位の2割が組織を引っ張らなければならないという人たちがいます。

 

しかし、私が最近読んだ記事で、このようなものがありました。

働いているアリでも、時間が経つと徐々に疲労して働けなくなってくるそうで、そうするとそれまであまり働いていなかったアリが、代わりに働き始めるそうです。すべてのアリが疲労して働けなくなってしまうと集団が維持できないので、集団を維持、継続するために余力として持っているのが、働かない2割のアリではないかという話でした。

 

企業においては、最近は効率化重視という観点から、無駄を省いたギリギリの組織運営を求められることが増えています。一方で、組織を安定的に機能させてそれを継続していくためには、一定程度の余裕、余力は必要です。働かない2割は、その中でただの無駄な人材というわけではないと見ることができます。結局は役割の与え方や働かせ方のほうに問題があるように思います。

 

また、「2-6-2の法則」というと、優秀とされる2割ばかりに注目して、その人たちを中心に組織運営を組み立てようとする傾向があります。役職や処遇、人事評価などでその人たちを優先し、普通に働く6割の人は、働かない2割の人とあまり変わらない評価がされていたりします。

 

ただ、「2-6-2の法則」が真実であれば、2+6の8割の人は普通以上の仕事をしているという見方ができ、そのおかげで組織が成り立っているとも言えます。

にもかかわらず、普通の6割の人をあえて相対評価などで序列付けしていることがあります。普通に働いているのに序列付けの結果でマイナス評価が下されていたりしますが、それでやる気が出る人はたぶんいませんから、そういう評価をすること自体に意味があるのだろうかと思います。

 

「2-6-2の法則」を安易にとらえ、2割が優秀で2割が使えない人など決めつけるのは、組織運営としてあまり得策ではないように思います。

組織を構成するすべての人は、何かしらの役割を持っているという考え方が、実は「2-6-2の法則」なのではないでしょうか。

 

 

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