2013年3月26日火曜日

ある会議で感じた閉塞感


もう2年近く前ですが、ある団体のお手伝いで、「震災ボランティア・NPO等と各省庁との定例連絡会議」という会合に参加したことがあります。

各省庁の震災関連担当の方々と、現地で震災ボランティアをしているNPOの方々の情報交換が目的の会議で、政府から首相補佐官なども出席される結構大きな会議でした。
私たちのお役目は、会議の準備、運営、撤収などで、会議中はほとんど傍聴していられたので、日頃出入りできない場で話を聴くことができ、いろいろ考えさせられることがありました。

連絡会議という名称ではあるものの、NPO側が出す要望を省庁側が聴くというスタイルが基本になっていて、それぞれの団体ごとの各論の話も多く、それはそれで仕方ないのでしょうが、印象に残ったのは、出席されているNPO側の方々の中に、かなりの怒りを持っている参加者がいらっしゃったことでした。
資料の文面や会議での発言が、結構な攻撃口調だったり相手を吊し上げるような態度だったりするのですが、裏を返せばそれだけ思い通りに動けない現状があり、フラストレーションや閉塞感があって、その矛先が行政に向いてしまっているように感じたことでした。

もちろん省庁側の過去の動き方は問題があったのだろうと思いますし、省庁間の縄張り意識や縦割り意識が見えるところもあり、何か言いたくなる気持ちも理解できるのですが、この場で相手をヒステリックに責めつけても何か解決するわけでもなく、今一つ建設的でないように感じてしまいました。

またNPOの方々は、それぞれ独自のネットワークでお互いに情報交換していらっしゃるようなのですが、顔見知りとかたまたま出会った知り合いとか、個人的人脈や草の根レベルのつながりが多いためか、実はすでに動き始めているとか、こんな制度があるとか、そのあたりに情報不足がある様子が見られ、これが閉塞感の原因の一つになっているように感じました。中には誤解から来るフラストレーションもあったように感じます。

私が仕事上で取り組むのは、主に企業内での組織運営上の問題ですが、現場にうまく動いてもらうには「情報開示」「情報共有」が最も大事と思っています。この会議は震災対応が目的でしたが、分野は違っても基本は同じことだと思います。

「情報開示」「情報共有」というと、何か形式ばった感じがしますが、例えば現状を隠さず伝えるとか、必要な情報をまとめて探せるようにしておくとか、ここに聞けばわかるという窓口を作るとか、単純なことでも十分これらに該当します。この会議の件でいえば、すでにある草の根つながりをさらに広げられる場を作るとか、組織にはなりづらいから口コミをうまく使うとか、いろいろ考えられます。

「現場がうまく機能しない」という組織でその原因を探していくと、“情報を小出しにする”、“情報操作や情報隠しをする”という行為に行きあたることが多々あります。理由を聞くと「混乱させないため」「誤解されないため」「言ってもどうせ理解できない」などとおっしゃることが多いですが、だいたいが逆効果になっているものです。

「伝えるか?、伝えないか?」ではなく、「どうやって適切に伝えるか?」を考えることが大切だと思います。


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