2014年1月17日金曜日

「個人商店」から脱却する第一歩


中小零細のオーナー企業で、社長の「個人商店」からの脱却が課題とおっしゃる会社には、かなり多く出会います。基本的には組織化があまりされていないような会社です。
もう少し具体的にいうと、コミュニケーションの主体が、「社長と社員の一対一」という形がほとんどで、それに対して社員同士の関係の方は少し希薄というような会社が多いように思います。

こういう会社では、経営者を初めとして、個人商店のような体制のままではダメだという問題意識を持っていることがほとんどですが、ここから脱却できる企業もあるし、逆にできない企業もあります。
脱却できればその企業の成長は加速し、できなければ現状のままか、どちらかといえばさらに厳しい状況に向かいます。

あくまで私が見てきた範囲ですが、この脱却がうまくいくかいかないかの差は、結局は「オーナー経営者がうまく権限委譲をしていけるか」にかかっているように思います。現場への思い入れが強かったり、ご自身が現場に細かく入り込んでいくようなタイプの人、いろいろなことを自分でやらないと気が済まないようなマメな人ほど、このあたりがうまくいかないように感じます。

こういう経営者の方々は、皆さんそれなりに「部下に任せている」とはおっしゃいますが、その任せ方は千差万別で、中には任せているとは到底言えないような関与の仕方をしている方もいます。また、一時は任せたけど、やっぱりできないとしびれを切らして、任せた物を取り上げてしまうようなこともあります。

任せなければ人は育ちませんが、なかなか踏ん切りをつけて任せる事ができず、場合によっては途中でいろいろ口出しをしたりします。任された側の人間は、そのせいでやる気を無くしたりして、よけいにうまくいきません。

「個人商店」といわれるような会社の経営者は、意外に自分のやり方にこだわりがあったり、細かなところで自分と同様の動き方を要求します。それに合致しないと「こいつには任せられない」となります。
経営者としてのこだわりは大事なことですが、やる人間が違えばやり方が異なるのは当たり前です。この「やり方が違うのは当たり前」ということを、意外に許容できないことが多いです。

「個人商店」からの脱却の第一歩は、経営者自身がやっていた仕事をまずは他人に任せることからです。ここにこだわりがあり過ぎて、人に任せる事ができないのであれば、残念ながらこれからも個人商店のままで行くしかありません。

個人商店からの脱却を本気で考えるならば、まずは任せた相手のやり方を尊重し、本当の意味で任せることからではないかと思います。他人でもできることはできるだけ他人に任せ、自分自身は社長しかできないことに集中するべきです。


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