韓国の仁川(インチョン)でアジア大会が行われていますが、それに関する記事の中で“アウェーの洗礼”を報じているものがありました。
主に男子サッカーに関するものでしたが、指定の練習場でロッカールームもシャワーも使えない、選手村の部屋にはエアコンがない、エレベーターも壊れていたりしていて、22階の部屋まで階段を上り下りしているなどということでした。
これが“アウェーの洗礼”なのかは何とも言えませんが、日々予期せぬことが起きる、海外でのこういう不自由な経験がたくましい成長につながるはず、というような話になっていました。
この話から思ったことが、私自身の仕事環境の変化の中で起こったことです。
今の私の仕事環境は、自分が代表者ということもあり、「一人で客先に行って、先方の方々と一緒に仕事をする」「知り合いが誰もいない会合や研修に出向く」「初対面の方とお会いする」というような場面が圧倒的に多くなっています。言ってみればほとんどがアウェーな環境という感じです。
これに対して、自分が独立する前の会社員時代のことを思うと、当時はほとんどがホームといえるような環境だったと思います。取引先や営業の人は自社に来てくれることの方が多いし、仕事をする中では常に周りに上司や部下、同僚がいます。
どこかへ出かけるとしても、他の人と一緒か、一人であってもそれほどアウェーな感じを持たなくても良いような場所がほとんどでした。部門長としての役割が多くなるにつれ、アウェーな場面は少しずつ増えましたが、それでも今とは比較にならない少なさでした。
もちろん立場や役割や職種による違いはあるでしょう。いきなり一人で海外赴任なんてこともあるでしょうが、それでも企業に属していれば、常に誰か味方がいるという感じがします。「アウェーな経験」の少ない人が大半ではないかと思います。
私も今でこそアウェーな感じは嫌いではなく、逆に未知の経験を楽しみにしていたりしますが、会社にいた当時は全くそうではありませんでした。そもそも知らない人に会って人脈を広げようとも思っていませんでしたし、そんな必要性もあまり感じていませんでした。
必要なのは上司・部下・同僚、その他関係先の既知の人たちとうまく交流することで、その方が仕事上のメリットも大きかったということです。
最近ある方からうかがったお話で、大企業にいる人ほど内向きな価値観が身に付いてしまっていて、いざ転職や出向などで社外に出ても、なかなかうまくいかないことが多いということを聞きましたが、実はこれも「アウェーな経験」が少ないからではないかと思いました。
大企業であればあるほど、ほとんどのことが自社内で帰結できますし、社外との交流も自分たちの方が強い立場のことが多いでしょう。また、辞めずにずっと定年まで働こうという人が大半ですから、社内での人間関係が最も大事なことになります。なおさら「アウェーな経験」は不要ですから、仕方がないのかもしれません。
ただ、先行きが不透明なこれからの時代は、そうはいかないと思います。自分の成長のために「アウェーな経験」が必要なことは、スポーツの世界に限らないことです。
そうは言っても、企業に属していると、「アウェーな経験」をする機会は少ないかもしれません。それをあえて経験する取り組みを、自分で意識することが必要になってきているように思います。
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