2014年9月29日月曜日

悪い評価をしない、伝えないことでのトラブル


人間にはそれぞれ個性があり、同じようにそれぞれの能力には違いがあります。会社で仕事をする上でも、その結果も成果もプロセスも、それぞれ違いが出てきます。

そんな中で、もちろん無いに越したことはありませんが、仕事の結果が出ない、成果が乏しい、作業が遅かったりミスが多いなどといった業務プロセスで、能力不足と評価をせざるを得ない社員が出てくる場合はあると思います。
こんなとき、会社側からの本音で、「できれば辞めてもらいたい」などという声が出てくることはしばしばあります。

そもそも解雇規制が厳しい日本の企業では、会社の都合で社員を辞めさせるということには相応の理由が必要ですから、どんな社員であっても簡単には解雇できませんし、会社としてその人を採用した責任もあります。
別の活かし方を考えたり、指導方法の工夫や強化など、簡単に切り捨てずに対処することが大前提ではありますが、会社として、さすがにガマンの限度を超えたと見限ってしまうような状況は、実際には出てきます。その結果として、残念ながら“退職勧奨”というような形になってしまうこともあります。

その際の会社側の言い分を聞くと、確かに戦力として扱えないと考えるのも無理はないと思う部分はありますが、そこで私が良く見かけるのは、人事評価制度などを運用しているにもかかわらず、会社が能力不足と評価していることを、本人にきちんと伝えていないことが、意外に多いということです。

例えば直前に行なった人事評価でも、ほぼ標準か多少のマイナス程度で評価されていたり、評価面談をしても、不足部分の指摘すらしていなかったりします。
ほぼ平均的な評価か、多少のマイナスはあっても落第点とは思えないような評価をされている社員が、いきなり能力不足と言われて退職勧奨などをされたとしたら、これは納得できるはずもありません。

評価を担当する上司に、なぜ相応の評価をしないのかと尋ねると、「この評価項目ではそこまで悪く評価できない」などと制度のせいにしたり、評価面談でフィードバックをしない理由を尋ねると、「やる気を無くさないように」「へそを曲げられては困る」など、あえて伝えない方が良いような言い方をします。目先の軋轢は避けたい、自分が悪役にはなりたくない、というような姿勢を感じます。

これを“マネージャー失格”などと批判するのは簡単ですが、自分だけが嫌われるようなことは、誰でも避けたいと考えるのが人情です。能力不足の社員本人に対して、事実を客観的に伝えることを、マネージャー個人任せにせず、組織として対応することも必要でしょう。

会社と社員が対立するようなトラブルは、はじめはごく些細な感情の行き違いが原因ということが少なくありません。
だからこそ、悪い評価やダメ出しなどの伝えづらいことであっても、客観的事実をもとに組織の立場として本人に伝え、お互いの現状認識を常に合わせておく必要があります。

悪い評価をしない、伝えないということは、もしもの時のトラブルの原因になるということを、肝に銘じておくべきです。


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