2016年6月15日水曜日

「どこから手をつければよいかわからない課題」は、とりあえずどこかに手をつけてみる



あるセミナーで、女性活躍支援、長時間労働抑止、ワークライフバランス、ダイバーシティといった、人事としては旬なテーマを網羅したパネルディスカッションを聞きました。

事例紹介として、ある会社では、まずは女性活躍支援として、育児に関する部分から手をつけ始めたそうで、その理由は必ずしも切迫した事情があった訳ではなく、「何となく進めやすそうだったから」だったそうです。
しかし、女性活躍に関する施策を検討し、制度などを打ち出していくほど、実は男性社員の働き方が変わらないと、ほとんど効果がないということに気づき始めたそうです。そこから全社の長時間労働対策と、男性の育児休業取得の向上策にも取り組むようになり、何年かかけて少しずつ成果も出始めているそうです。

また、別のある会社では、ワークライフバランスのためには、まずは長時間労働対策だろうと、朝型勤務やフレックスタイム制を、様々な組み合わせやアレンジで試したり、強制的に消灯したりというようなこともしたそうですが、働き方の習慣というのはなかなか変わらなかったそうです。

そんな中で、「仕事をするには場を共有しなければならない」という固定観念が問題ではないかという話になり、そこから在宅勤務の制度やウェブ会議の環境作りを進めたそうです。
そんな取り組みを続けるにつれて、社員間で労働時間に関する意識が少しずつ高まり始め、仕事内容によって、在宅でできることと出社しなければできないことを、社員個々がきちんと切り分けるようになり、そこから実際の仕事のしかたが効率化されていき、労働時間は相当少なくなっていったそうです。

こんなお話を聞き、私からもお伝えしたいと思ったことが三つあります。
一つ目は、当初思っていたことは、現実にやってみると思い通りにはならず、やってみて初めて分かることがあるということ。
二つ目は、人事の課題というのは、それぞれ分かれているテーマのようで、実は根っこではつながっているということ。
三つ目は、課題がつながっているがゆえに、どこから手をつけたら良いかがわかりにくいが、どこかに手をつけてみると、動きが始まるということです。

女性活躍支援も、長時間労働も、ワークライフバランスも、ダイバーシティも、どれも一筋縄ではいかない課題ばかりです。施策を工夫し、実態を見てアレンジしながら様々な取り組みを続け、効果が得られたと評価できるまでには何年もかかります。
しかし、すべての課題はどこかで必ずつながっているので、まずは入口になる糸口を見つけて取り組みを始めれば、必ず事態は動きだします。

もしも解決しなければならない課題があって、それを「どこから手をつければよいかわからない」と悩んでいるのだとすれば、とりあえずどこかに手をつけて、取り組みを始めてみることが大切だと思います。特に人事の課題は芋づる式につながっています。まずは行動を始めることが重要だと思います。


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