2018年1月10日水曜日

上に立つときに必要なのは「愛する力」だという話



スポーツのコーチに必要な資質は何かについて書かれた記事を見ました。

スポーツに限らず、企業での部下育成やコントロールなど、数多くの社員にどう接して率いていくかというような中で、「コーチング」が求められるようになっていますが、そこで最も重要なこと、あるいはリーダーとして必要なことは何かという話でした。

いろいろな競技の指導者たちから聞いた話があり、女子柔道では「誰かのために自分の力を捧げるという思い」といい、カーリングでは「チームの全員を好きになれるかどうか」といい、その共通点を最も簡潔に表したのは、ラグビー日本代表や早稲田大学などで指導者の実績を残した大西鐵之祐氏の言葉で、「そこにいる人間を愛する能力」とのことでした。

もちろん育成のノウハウやスキルは大事ですが、選手やスタッフを選べるとは限らない中で集まってくる人たちがいて、その集団を指導してリーダーとして率いていくには、その場の人たちを好きになれるか、彼らに力を注げるか、ということが土台になければならないということでした。

忘れられがちで実行は困難でも、指導者として何が重要なのか。組織の上に立つときに何が肝要なのかを示唆していると結ばれていました。

これを読んで、私は本当にその通りだと共感しましたが、同時にかなりの難しさも感じます。
私の今までの経験でも、確かにうまくいったチームは、メンバーたちの気が合って好きな者同士の関係だったように思いますが、それは決して意図的に好きになろうと努力したわけではなく、集まっていたのがたまたま気が合うメンバーだったというだけのことでした。
リーダーであればそんな成り行き任せではダメだということで、全員を好きになる「能力」が必要だということです。

こういうことを考えると、現場で気になることがたくさんあります。リーダーから話を聞く中で、この「メンバーたちが好き」という感情が伝わってくることは、あまり多くはありません。
どちらかといえば、苦言、ダメ出しが中心で、中には相手を切り捨てたような態度をとるリーダーがいます。感情ではっきり「嫌い」とは言いませんが、ダメなところを理屈で説明する様子は、少なくとも「好き」ではありません。

また、メンバーを「できる」と褒めたとしても、それは「好きだ」というよりは、ただ「評価している」ということのようです。そこに“愛情”がともなっている感じはしません。
多くのリーダーは、どんなことでもできるだけ論理的に説明しようとし、どちらかと言えば感情を出すのは良くないことと思っています。「快・不快」「好き・嫌い」は最も基本的な感情ですが、あえてメンバーたちをこういう対象に思わないようにしているのではないでしょうか。

ただ、多くの競技のコーチたちの話からすると、メンバーたちを「好き」にならなければ、その人はうまく育たず、リーダーとして組織をうまく率いることもできないことになります。
自分の感情を変えるのは難しいことですし、簡単に出来そうなことでもありませんが、「メンバーに対する愛情」は、リーダーに必要な資質です。少しでも持てるように意識しなければならないことだと思っています。


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