2018年1月22日月曜日

「働き方改革」での課長の悩みが10年前と同じだった



「“働き方改革”の陰で課長の疲弊」という新聞記事がありました。
「残業を減らせ」「有休取得率を上げろ」などという会社の号令と現場の板挟みになり、部下に仕事を振れなくなって自分で抱え込まざるを得なくなる管理職が増加していて、そこで疲弊しているのは部長よりも課長クラスなのだそうです。

ある調査によると、働き方改革推進で会社のサポートが不十分と感じる課長の割合は9割を超え、短時間勤務、再雇用、非正規など、昔と違って様々な働き方の部下をマネジメントすることにストレスを感じる課長も、7割を超えているとのことです。

この調査で、部下マネジメントの悩みやストレス度を算出、分析してみると、「部下とのコミュニケーションがとれている」「労働時間8時間未満」という人のストレス度は当然低かったですが、「コミュニケーションが取れていない」「労働時間14時間以上」という人も、実はストレス度が低かったのだそうです。
これは、「働き方改革」などは意に介さない昔ながらの根性論の人が、自分の働き方を変える気も、部下のワークライフバランスに配慮する気もないということではないかとされていました。
逆に言えば、その間にいる、仕事量が多くて部下の生活も真面目に考えている管理職ほど、ストレスを抱えて悩んでいるということのようです。

私はこの記事を見ながら、思い出していたことがあります。
この記事とまったく同じような話で、会社から残業削減の号令と、その数値目標でかなり強い締め付けがあり、しかし仕事量は減りませんから、残業代支給対象ではない、管理職の中では一番下の課長クラスが、その多くを肩代わりしなければならなくなり、かなりひどい業務環境に陥ったというものでした。そして、実はそれはもう10年以上前の話で、しかもその当時、同じような問題で複数の会社から話を聞いていました。

その当時の残業削減は、社員の健康管理というよりは会社の労務費削減という意味合いが強く、一方的な数値目標が会社から指示され、それに対する会社からのサポートはないという状況は今とほぼ同じで、減らない仕事を課長クラスが自分でこなすしかないということでした。

最近「働き方改革」に対するやらされ感が問題になっていますが、一因にはこの「10年以上前から変わっていない会社の姿勢」があります。現場への安易な丸投げで一番負担がかかるのは課長クラスであり、その人たちを疲弊させてつぶしてしまうかもしれません。それは会社にとっては損失でしかなく、新しいことを進めるには、会社のサポートが必要です。

また、課長クラスの人も、ただ自分が犠牲になることでは、問題は何も解決しません。自分のできる範囲でしなくても良いことをやめて仕事量を減らし、より効率的な仕事を進め方も考えていかなければなりません。

無駄の中には「仕組みがあることでの無駄」と「仕組みがないことでの無駄」があります。
「仕組みがあることでの無駄」は、手続きの過剰、決裁プロセスの過剰、会議体の過剰といったことで、さらには上司へのお世話の過剰、上司からの要請対応の過剰など、仕組みとまでは言えない暗黙のルールに縛られていることもあります。
一方、「仕組みがないことでの無駄」は、別部署で同じような作業や試行錯誤をしている、ルールの不統一、書式の不統一など、バラバラなやり方での非効率ということです。

「働き方改革」というのは、決して従業員優遇策でもコスト削減策でもなく、従来から言われる「業務改善」や「組織改革」に通じているもので、経営戦略にも密接にかかわるものです。そういう意識で取り組めば、決して現場丸投げにはできないはずです。
関係者みんながWin-Winでなければ、「働き方改革」は絶対うまくいきません。


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