2018年11月8日木曜日

「高速バスでの運転拒否」で気になる指導者のこと


徳島から大阪へ向かう高速バスで、入社間もない59歳の運転手が、同乗していた53歳の指導員の指示に従わず、逆上して途中のパーキングエリアにバスを止め、運転をすることを拒否したという話題がありました。乗客17人は、後続便に乗り換えるまでおよそ1時間待たされたということです。

高速を走行中に、指導員が「エンジンが焼きつく」との理由で、ギアを上げて走るように注意したことがきっかけで、最初は穏やかな口調でのやり取りだったようですが、運転手は「低いギアで走るのが自分のやり方だ」と反発し、「これ以上運転できない」として、予定になかった最寄りのパーキングエリアでバスを停めたといいます。
入社してまだ2か月でしたが、他のバス会社で数十年の運転歴がある人で、トラブルの2日後に退職したということです。

この行動について、特にネット上では、ほぼすべての批判がこの運転手に向けられていて、「仕事への責任感がない」「いい年をして大人げない」「辞めてくれて正解」「運転手不適格」などと言われています。
行動の結果からすれば、そう言われてしまっても仕方がないでしょうし、この運転手自身の責任が大きいのは間違いありません。批判もやむを得ないでしょう。

ただ、いろいろな報道記事を読んでいた中に、「運転手に逆上した理由を聞くと『自分でもわからない』と泣きながら話した」という一節があり、自分の感情をコントロールできなくなっていた様子がうかがえます。何かよほどのことがあったのではないかと思えなくもありません。

さらに実際に乗車していたという人のツイートが目にとまり、そこでは何を聞いても答えず、謝罪もしなかった指導員への批判が出ていました。SNSなのでどこまでが真実かわかりませんが、指導運転手のパワハラで退職した別の人の話も出ていたりします。当事者同士の実際のやり取りを聞いていた人たちは、一般で言われている批判とは少し違うことを感じているのかもしれません。

ここまでこじれた例ではなくても、仕事の指導上のトラブルというのは、意外に多くの会社で起こっています。その原因は、指導する側、される側、もしくは両方の能力不足にあります。いくら教えても身につかないという苦労話はよく聞きますし、部下をつぶす上司の話も同じようによくあります。

特に後者の場合はパワハラを伴うことも多いですが、指導する側とされる側の相性が悪く、それでもその関係を続けざるを得なかったり、他の人の介在がなく、いつも一対一、もしくは少人数の閉じた関係になっていたりすると、パワハラは起こりやすくなります。

今回の件では、運転手のこれまでの経験からして、運転技術が全く不足していたとまでは思えず、そうなると私の経験上は、指導者側にも何らかの問題があったのではないかということになります。

当事者でもなく、現場の事情も知らない私が、これを誰の責任だとかどちらが悪いとか、そんなことを言う資格は一切ありませんが、一つだけ言えるのは、ここに至るまでには何かの前段があったのではないかということです。
人が「キレた」という状態になる時、ある日突然起こるよりは、少しずつ積み重なってきた不満があって、それがある時に爆発してしまうことが多いです。爆発のきっかけは些細な一言だったりするので、その場面だけ見た人は「なんであの程度でキレるのか」となりますが、実際にはそれ以前から問題があることが多いです。

こういったことを防ぐ方法は、周りからの健全な監視の目、良識ある第三者の関与しかありません。不正、いじめ、嫌がらせといったことは、他の誰かの目に触れる可能性があるだけでも、ずいぶん多くのことが防げます。

この運転拒否の件では、ここまでの問題にならずに済んだ方法が、何かあったという気がしてなりません。


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