2020年10月26日月曜日

「思い込み」の善し悪し

企業の中で、特に採用基準や人材像の話をしているとき、「思い込み」と感じる会話に出会うことがよくあります。「男性は」「女性は」という性別の話、「若い者は」「年配者は」という年齢の話、「○○の卒業生は」という学歴の話をはじめ、さらに細かい話では「出身地」「産まれ順」「趣味」「親の職業」「家族構成」「生い立ちなどの家庭環境」「食べ物の好き嫌い」「やっていたスポーツ」ほか、本当にいろいろなことで「これはいい」「これはだめ」という話を耳にします。

 

聞いている中では確かにそういう場合もありますし、そんな傾向もあるかもしれないと、すべてが否定できるものではありません。

例えば「年配者は新しいものが苦手」と言われて、確かにそういう傾向があるとは思うものの、すべての人に当てはまるわけではありません。新しいものといっても様々な分野があり、苦手といってもそれぞれの人によって程度が違います。さらに年配者が何歳なのかという基準もありません。

 

採用の場面での思い込みは、活躍できる人材を排除している可能性と、反対にミスマッチを助長していることもあります。「○○な人だから大丈夫」など、思い込みで善意な解釈をして失敗する場合ですが、いずれにしても思い込みによる判断はあまり良い結果になりません。

これらの思い込みは先入観と言い換えられるようなものですが、これを避けるためには性格テストなどの結果も見ながら複数の人が会って評価し、客観的な事実をもとに、できるだけ思い込みにとらわれない判断をおこなう必要があります。採用時の「思い込み」には注意が必要です。

 

一方、優秀な経営者やリーダーは、その場面に応じた適切な決断と行動ができる人たちですが、その決断や行動のすべてが、客観的な事実や正論かどうか、ほか善悪のみに基づくようなものではありません。自分が「こうあるべき」と考える価値観であったり、「こうしたい」という願望であったり、信念や過去の経験など、どちらかといえば「思い込み」のような判断基準であることが多々あります。

ここでいう思い込みは、どちらかといえばこだわりに近いのかもしれませんが、そんな思い込みのようなものを持っている人たちの方が、優秀な経営者、リーダーという評価を得ているように思います。思い込みを貫いて結果を出した人たちですが、ここではこだわりや思い込みが、良い方向に作用しています。

思い込みが強すぎる人はやっぱりうまくいっていないので、程度の問題というところはありますが、人を引っ張っていくには「思い込み」のようなものも必要です。

 

このように、「思い込み」と一言でいってもその中身はいろいろで、時と場合によって良いものも悪いものもあります。

思い込みが「先入観による排除」「決めつけ」といったことにつながっているのであれば、それは直さなければなりませんが、「こだわり」「信念」といったものにつながっているのであれば、それが良い方向に作用することもあります。

 

「思い込み」には善し悪しがあり、状況によって使い分けが必要なようです。

 

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