2022年6月6日月曜日

「在宅勤務」と「通勤負担」の関係

ここ最近は新型コロナ感染の状況も落ち着いてきて、ずっとオンラインでしか話せなかった人たちと、久しぶりに対面する機会が増えてきました。

実際に対面できてリアルで話していると、やはりオンラインと比べて数段コミュニケーションが取りやすく、あらためて人と会うことの大切さを感じています。

 

一方、仕事に限って言えば、長くリモートワークをやってきて、それで十分にこなせることがわかったことが多々あります。例えばお互いがすでに面識がある関係での定例会議などでは、オンラインミーティングの方が簡単に招集できて会場の手配も不要なことや、場所の移動がなく短いインターバルで複数のミーティングに参加できることなど、場合によっては効率的だと思うことがあります。

 

最近は大手企業でコロナ前と同様の100%出社勤務の体制に戻すところが出てきたり、アメリカの有名IT企業でも、原則は出社で、リモートワークは認めるが賃金には格差をつけたりするなど、対面重視のところがあります。

その一方で、コロナ終息に関わらず、これからもずっと100%に近い在宅勤務を続けると宣言しているところもあります。コロナ禍を機にオフィスフロアを縮小してしまった会社もあるので、そういうところは今後もリモートワークが主体となるのでしょう。

 

考え方として一番多いのは、状況に応じて両方を使い分けることを認めるハイブリット型ですが、その実施比率は会社によって様々です。

 

働く社員の側も、リモートワークに関するとらえ方はいろいろですが、一番多いのは両方をうまく組み合わせて働ければ良いと考える人でしょう。在宅でもできる仕事はあるし、その一方、対面でなければできないことや、その方が効率的な場合があることは、みんな十分に理解しています。

会社から100%出社することを求められるようになって、これまで在宅勤務のメリットを大いに感じてきた人は不満を持ち、転職を考える人も出てきたという話も聞きます。一度多様化したものをまた元に戻そうというのは、社員から出る不満や多少の人材流出には目をつぶり、強引に進める覚悟がなければ難しいでしょう。

 

様々なアンケート調査などで、在宅勤務のメリットとして最も多く挙がるのは「通勤負担の軽減」です。単に通勤にかかる時間が削減されるだけでなく、身体的な負荷が減って仕事の効率があがったり、可処分時間が増えて家事、育児、その他プライベートに充てられる時間と心に余裕ができたりといった意見があります。

 

この声を裏付けるような話があります。

私がいくつかの地方企業で在宅勤務に関する考えを聞いた時のことですが、社員のほとんどが在宅勤務には後ろ向きで、「家で仕事をするなんて嫌」「仕事とプライベートはしっかり分けたい」などと言います。

話を聞いていてわかったのは、特に首都圏では当たり前の「通勤負担」がほとんどないということです。多くの人が自家用車で通勤し、時間は長くても30分程度ということで、みんな負担感を持っていません。「仕事とプライベートを切り替えるのに通勤時間は必要」などという人もいました。

要は職住近接ということですが、生活環境によって働き手の感じ方は大きく違うことがわかります。

 

在宅勤務のニーズの多くが、「通勤負担の軽減」だとすると、リモート以外にも方法はいろいろ考えられます。

コロナ以前からある制度ですが、2駅ルールや3駅ルールなどといって、会社に近くに住んだ者に家賃補助や手当支給をする制度があります。まだ持ち家率が低い若い社員が多い会社で見られます。

複数個所に小規模のサテライトオフィスを設けて、社員は自宅から近いオフィスに出勤することで通勤負担を減らす取り組みがあります。全国展開しているシェアオフィスと契約して、その場所を利用しているところもあります。

ラッシュを避けた時差通勤、会社による通勤バスの運行や社用車通勤の承認、直行直帰の運用なども、通勤負担に関連する取り組みと言えます。

 

これらのことに在宅勤務を組み合わせて、総合的な通勤負担軽減の取り組みを進めれば、出社か在宅かの二択を迫ったり、メリットとデメリットを言い合ったりするような不毛な議論は必要がなくなります。

在宅勤務を求める理由には、通勤以外にも様々な事情があり、必要な施策はさらに広がります。

いずれにしても、働き方が大きく変化してきていることだけは間違いありません。

 

 

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