2013年5月15日水曜日

退職理由を調べても・・・


「××さんは辞めちゃったんですよ・・・」
「あれ! そうなんですか・・・」
などという会話をすることが、最近結構あります。せっかく知り合いになったのに、縁遠くなってしまう気がして寂しく思ったりします。

また、いろんな方々から、転職独立起業のご連絡も頂きます。
それぞれの人が自分なりに考えた上での選択ですから、そんな皆さんには是非頑張って頂きたいし、一緒に何かできれば良いなぁなどといつも考えていますが、一方で私は企業側のお手伝いをする立場でもあるので、きっとこういう方々は会社にとっては残ってほしい人材だったんだろうなぁと思い、どうすれば残ってもらえたのかということも考えたりします。

今のような雇用環境であっても、人材流出に悩んでいる企業は意外に多いです。悩んでいるのを通り越して、どうせそんなものだとあきらめてしまっているような会社もあります。
それぞれの会社で、自分たちなりにいろいろ原因や対策を考えています。
やり方として多いのは、退職者に退職の理由や原因をヒアリングし、そこから原因を探って対策するということですが、実際にこれが効果的な対策に結びつく事は多くはありません。

「どうせ辞めていく人が本音を言う訳がない」という面はありますが、もう一つはっきり言えるのは、「退職理由が要素分解できて、整理して説明できる場合は少ない」ということです。

明確に説明できる退職理由というのは、例えば「行きたい会社に内定した」「やりたいことがある」「給料が上がる」「家庭の事情」などで、どちらかといえば会社としてはどうしようもない、要は対策のしようが無いことがほとんどです。

他の多くの場合は、“そこに至った理由はいろいろあるが、何が一番とか言えない”、“あれもこれも理由なんだけど、どれがということで整理して説明できない”ということです。感情的な要素も含まれますし、それまで問題なかったことがあるきっかけで理由になったり、そもそも自分でもよくわかっていないこともあります。
もちろん「本音を言うと誰かを傷つける」「今後の人間関係に不利益になる」とすれば、当たり障りのない理由をその場しのぎに説明するということになってしまうでしょう。
そんな情報をそのまま真に受けても、あまり有効な対策にはつながらないのは当然です。

私も人材流出に関する相談を受けますが、これを止めるには、結局は組織のムードを良くすることに尽きます。対症療法ではなく体質改善ということです。「とりあえず定例でお茶会でもしようか」なんていうレベルの、ごく初歩的で身近な事が有効な対策であることも少なくありません。
退職理由から対策を探るだけでなく、組織そのものの体力測定、健康診断のように、今一度自社の状況を総合的に見直してみると、意外に見えて来る対策があると思います。

もう一つ、どんなにりっぱな会社でも、どんなにすばらしい経営をしていても、辞める人は必ずいます。そんな人を笑顔で送り出し、良い関係を保ちながら応援できるようであれば、これも素晴らしいことなのではないかと思います。


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