2013年7月16日火曜日

内定は取るもの?いただくもの?


ある会社の新卒採用面接をお手伝いする中で、何となく気になったことがありました。

こんなやり取りが、一人だけでなく何人もの方々とありました。

面接官(私):「今、内定が出ている会社はありますか?」
学生さん  :「いいえ。まだ内定は取れていません」

「ああ、なかなか内定が出なくて、やっぱり厳しくて大変なんだな」ということはもちろんありますが、私、この「取れていません」という言い方に、ちょっと反応してしまいました。
「内定って、いつから“取るもの”になったんだろうか・・・」と。

たぶん、今の学生さんの間では、ごく普通に「内定が取れた!」「まだ取れてない」という会話がされているのだと思います。学校の就職指導などでもそういう言い方をするのかもしれません。

でも自分たちの頃も含めて、ほんの少し前まではどうだったかを思い返すと、内定は「もらう」「いただく」という言い方が多かったと思います。良し悪しは別にして、あくまで最後は会社が決めることという感じの受け身のニュアンスでした。

それに対して「内定を取る」は、より主体的に自分たちの力でアグレッシブに、「勝ち取る」感じのイメージです。やっぱり就職活動の厳しさを象徴していて、受動的に「いただく」ではダメで、自分で積極的に「取る」つもりで行かなければならないということのように思います。

ここからはちょっと屁理屈ですが、これを会社側から見ると、内定を「もらう」「いただく」に対しては「あげる」「差し上げる」側ということになります。でも内定を「取る」と言われると、会社は「取られる」側?ということになります。何かちょっと変な感じです。

また内定を「取る」とは言っても、今の環境ではどちらかというと、相手にできるだけ合わせて何とか気に入ってもらおうという形になってしまうように思います。ついついイーブンな関係性ではないと感じてしまいます。

私はいつも申し上げるのですが、採用活動においては、会社が威張って応募者がへりくだっていても、応募者が強気で会社がそれに媚びていても、そのどちらの場合もダメで、採用する側とされる側の対等な関係性を保つということが、採用活動を成功させる大事な要素としてあります。

しかし実際には、その時々の力関係にどうしても左右されてしまうので、会社と応募者の関係性はいびつになってしまうことが多いものです。普通は雇う側である会社の立場の方が強くなりがちですから、良い関係性を保つのはひとえに会社側の意識にかかっているというところがあります。

内定を「取る」でも「いただく」でも、そんなのどちらでも良い些細なことかもしれませんが、面接のちょっとしたやり取りの中で、今の難しい雇用環境を感じてしまいました。


0 件のコメント:

コメントを投稿