2013年8月30日金曜日

せっかくのアピールがアピールになっていないと感じる言い方


ある学生さんとの面接でのやり取りです。

「自分の長所は“人が嫌がることに進んで取り組むこと”です」
「具体的にはどんな取り組みがありましたか?」
「学校の○○説明会に、クラスの誰か一人が代表として発表しなければならないのですが、みんな嫌がってやりたがらなかったのを、自分も嫌だったけど引き受けました」

自分の長所のアピールなのですが、この言い方や内容だと、相手の受け取り方によってずいぶんニュアンスが変わってしまうように思います。

「人が嫌がることを引き受けた」ということはすばらしいことだとして、
“でも結局は自分も嫌だったんでしょ?”
“イヤイヤやってもねぇ・・・。”
“人の嫌がることってこのレベルのことなんだ・・・。”
“社会人は発表する機会っていっぱいあるから、それが嫌だと大変だよね・・・。”
などというとらえ方もあります。

相手のとらえ方によっては、アピールどころか逆効果になっていることもあり得るということです。(実際に他の面接官はそのようにとらえていました)

これは“人が嫌がること”という主観的な事柄を、“引き受けた”という入口の部分だけでアピールしようとしたせいだと思います。アピールできるほどの実態がなかったのかもしれませんが、少なくとも“人が嫌がること”を引き受けた後の取り組みについて話した方が、いろいろアピールできることがあると思うのです。
例えば、
「初めはイヤイヤだったけど、責任もって取り組んで最後まで成し遂げた」
「発表内容を褒められ、嫌でもやってみると評価してもらえることもあるという体験をした」
「経験したおかげで、人前で話すことに苦手意識が減った」など・・・。
そして、
「そんな経験をしたおかげで“人が嫌がること”にも進んで取り組むことができるようになった」などとなれば、誰が見てもケチのつけようがないアピールです。

実際の中身が伴っていないから言えないのかもしれませんが、特に学生さんとの面接の中では、話すポイントや話の主旨と内容が少しずれているように感じることが多々あります。相手がどんな基準や価値観で話を聞いているかということへの感度が、少し弱いのだろうと思います。こればかりはできるだけ多くの人と接して、相手との距離感をつかむ経験を重ねていくしか改善の方法はありません。

せっかく良い経験があるのに、それがうまく表現できず、相手に伝わらないのはちょっともったいないことです。相手のことを少しだけでも意識して、少しだけでもうまく表現できるようになれば、今より少しだけでも、良い結果につながっていくのではないかと思います。


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