2014年7月4日金曜日

若手社員が「人並み」を好む弊害


日本生産性本部などの調査で、「人並みに働けば十分」と答えた新入社員の割合が、前年比4ポイント増の53%になり、バブル崩壊直後の過去最高の水準に並んだのだそうです。「将来が見通せず、リスクより堅実さを好む傾向の現れ」と分析しているようです。

もちろん、若い人たちのみんながみんな、「人並み」ばかりを好んでいるという訳ではありませんが、私自身が見ている範囲では、そういう姿勢を感じることは最近よくあります。

特に採用面接の場面などでお話をうかがっていると、「自分は参謀タイプ」「サポート役」「ナンバー2向き」という人が、ずいぶん多いという印象があります。

他のメンバーたちに背中を押されれば、リーダーとして動きますが、それを自分の意志だけで率先してやろうとすることはあまり多くないようで、自らリーダーシップを取ろうというタイプの人を見かけることは、ずいぶん少なくなりました。

どうも、自分が集団から浮いてしまうことを極端に恐れていて、そうならないようにと周囲に気を遣い、自分の意見や行動が突出しないように、できるだけ横並びでいようとする所があるように感じます。

よく言えば協調性があるとも言えるし、場の空気を読むことに長けているとも言えますが、和んだ雰囲気を保つことを優先するので、意見の衝突や議論、自己主張を避けることも多いように感じます。
まさにこの「人並み」ということが最も居心地が良く、最も好ましい状態なのかもしれません。

いかにも穏やかでギスギスしていない、現状を肯定的にとらえている俗にいう良い人という感じですが、一方で「人並み」を好む弊害かもしれないと思うのが、「上昇志向の弱さ」「目標設定の低さ」「安易な満足」という傾向です。

みんながみんなとは言いませんが、基本的に周囲と同じ状態が心地よい人が多いので、俗にいう出世などにはあまり興味がなく、高望みをしないのでそれほど高い目標を掲げることもありません。見切りが早く、世間一般から見ればまだまだ入門者レベルの状態でも、「もうできるようになりました」と満足してしまって、それ以上の取り組みをしようとはしません。

かくいう私自身も、それほどハングリー精神がある訳ではないし、何でも上へ上へ登りつめてやろうとも思いませんが、そんな私から見ても、もっと現状に疑問や不満を持って、それを課題として良い方向に変えて行こうというエネルギーが、もう少しあっても良いのではないかと思います。

堅実というのは、少し言い方を変えれば、想定できる変化の範囲におさめようとする、現状維持の意識です。いくら先行きが不透明だからと言っても、堅実というだけでは少々バランスを欠いているように感じてしまいます。

「人並み」も、行き過ぎてしまうと良いことばかりではありません。


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