2020年5月11日月曜日

在宅勤務での働きぶりの「監視」


在宅勤務で働く人が増え、ノウハウが蓄積されることに合わせて、意外にできてしまうこと、何かと不自由なことがはっきりしてきました。

IT化できるのに、今まで放置されてきた社内手続きや事務処理など、多くの非効率が表に出てきましたし、かなり多くの会議はウェブで事足りることがわかった一方、対面でなければやりづらいことやわかりづらいこと、難しいことがあります。



テレワークで一番大きく変わるのは、従来からある「管理職の仕事」だといわれます。

象徴的なのは、承認のハンコを押したりする仕事ですが、これからはどんどん減っていくでしょう。

マネジメントのしかたも、日々の観察や雑談、会議などを通じて、迷いごとや悩みごとの相談に乗ったり、仕事ぶりや表情から問題を見つけ出したりということは、ほぼ対面の環境でしか成立せず、テレワークでは通じません。



この日常観察ができないことから、テレワークに際して、在宅勤務中の勤務時間が管理できるシステムを導入した会社があるそうです。

テレワークを行う社員は、業務の開始時と終了時、昼食などで休憩時に、「退席」「着席」のボタンをクリックすることで、日々の勤務時間を自動で管理できるそうです。



また、社員が「着席」で仕事をしている間に、ウェブカメラでランダムに撮影した画像が上司に送信される仕組みもあり、社員にはいつ画像が撮影されるかはわからないそうです。

会社は、在宅勤務でも一定の緊張感を持ってもらう効果があると考えており、上司は画面を見て部下の作業状況を把握するそうです。

こういうシステム導入まではしていなくても、報告書の数が増えたり頻度が上がったり、細かい記載を要求されるようになったりという話はときどき耳にします。マネージャー個人の判断でこうしたことが行われる場合もあるようです。



こういう監視、観察の発想での管理について、私は見直しが必要だと思っています。

勤務時間中に「着席しているか」などの監視をするのは、まさに仕事を「成果」でなく「時間」で見ているからに他なりません。そもそも着席しているからといって、集中して仕事をしているとは限りません。

「サボっていたらどうするのだ」という人がいますが、いくら決められた勤務時間中でも、集中できないことやサボることは確実にあります。これはテレワークであってもなくても同じです。

必要なのは、「サボらないように監視すること」ではなく、「設定した期限までの仕事の成果を見ること」です。



成果が出ないとしたら、その理由にサボりは考えられますが、他にも能力に対して難易度が高かった、仕事量が多すぎた、時間が短すぎたなどが考えられます。

反対に成果が出たとして、それはサボったけれどもできてしまったのかもしれません。その人の能力に対して仕事が簡単すぎた、少なすぎたからということです。

そもそも勤務時間中にサボったとしても、求めた役割をこなして成果が出ているならば、別に問題はないでしょう。問題があるとすれば、それは仕事量や難易度を見誤ったマネージャー側です。



テレワークの場合、マネージャーとしては、部下の仕事をしている様子や表情が見えない、空気感が感じられないなど、自分の目の前で仕事をしているときよりも情報量が減ります。

ただ、これを「監視の強化」で乗り切ろうとすると、報告などの管理工数ばかりが増え、それに合わせて部下の不満も増え、確実に仕事が回らなくなります。



工場の製造ラインのような仕事であれば、手を止めてサボらないように「監視」も必要ですが、それ以外の仕事であれば、途中の仕事の進め方を「監視」する必要はありません。「成果」「結果」が出ているかどうかを見ればよいだけのことです。

テレワークを進めている有名外資では、「サボって結果が出なければその人の責任であり、どこかで埋め合わせをしなければならないだけなので、社員がどのように過ごしているかはそもそも管理していない」と言っています。



テレワークでは、働く人も今まで以上に自己管理が求められることに気づき、集中して仕事を進めるにはどうしたらよいかに苦労しています。サボろうという意識も余裕もありません。そうであれば、仕事の「監視」に力を注ぐ意味はありません。



こんなことを見ても、働き方の意識をどんどん変えていかなければならないことを痛感します。




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