2020年7月23日木曜日

「会社が嫌だから独立したい」は大丈夫なのか?


最近何人もの人から、これからの自分のキャリアについて、相談されることがありました。外出自粛で家にいる時間が長くなり、自分のことをいろいろ考える時間が増えたのかもしれません。
相談は「このままでいいのか」「独立したい」といったことですが、そう聞かれても、現状で何も問題ない人はそんなにいませんから、“このままでいいこと”はないでしょうし、独立してうまくいくかどうかはわかりませんから、「やれ」とも「やめろ」とも言えません。

ただ、最近は副業などを考えている人も多いので、そんな人から起業の話を聞いていると、物事が相当に都合よく運ばなければ難しそうなもののことも多く、ついつい甘いと感じてしまいます。
もちろん、何が当たるかわからない時代で、私ごときがああだこうだということではありませんが、結構社会人経験が長い人でも、例えば「商品を売る」といったことであれば、商品企画はずっと経験してきたけど、営業や販売の経験は無かったりします。そして、だいたいの人がその自分の知らない部分を軽く見ています。やらなければならないことの全体像がわかっていないように見えるのです。
会社勤務での経験の中では、範囲が限られてしまうのは仕方がありませんが、その点を自覚しているかどうかは、わりと重要なことです。

そうやってお会いした人の中に、「もう会社が嫌なので独立したい」という人がいました。「組織で働くことが自分には向いていないと分かった」と言います。向いていないというわりには、会社勤めの経験は結構長い人です。
独立したらこんなこと、あんなことという話をしていて、確かに面白そうなものはありますが、どれもそこまで練られたものではありません。

私はこの人にだけははっきりと、「会社が嫌という理由が一番初めに出てくるような独立はやめた方がいい」と伝えました。「そんなネガティブな理由ではダメ」というのはもちろんありますが、言いたかったのは、「独立した方が、会社と関わってやる仕事がよほど増えるから」です。本当に組織に向いていない人が独立しても、それでは勤まらないと思うからです。

組織に向いていないなどと言うのは、だいたいが「一方的に命令されたくない」とか、「納得できる仕事をしかやりたくない」といったことでしょうが、これは独立しても解消されることはありません。取引関係になれば、さらに厳しい要求をされることさえもあります。
独立によって「やりたくない仕事は断る」という選択肢はできますが、そればかりではどこからも相手にされなくなり、やらせてもらう仕事がなくなります。いかに相手と調整して、折り合いをつけて仕事を進めるかを考えなければなりません。

会社や組織に属していなくても、ほとんどの人は会社や組織と何らかの形でかかわりながら仕事をしています。単に「会社が嫌」「組織が苦手」では、独立してからもそういうことに対応するという発想自体が持てません。さらに、全体像を見た経験が少ないとなると、独立すれば今まで以上に苦労することも出てきます。
これが、ただ「会社が嫌」だけで独立することを勧めない理由です。

会社や組織と関わらずにできる仕事に何があるかを考えてみて、一芸に秀でた職人や芸術家が思いつくかもしれませんが、実は「経営者」が一番組織には向いていない人という話がありました。「組織的な動きができない」などと部下を叱責しながら、実は社長自身が一番自分勝手だったりします。
そうなると、独立する理由に「会社が嫌」は成り立ちますが、成功している経営者は、みんな組織のリーダーとしての振る舞い方を知っています。そういう意味では、決して「組織が苦手」ではありません。

自分のキャリアを会社などの他人任せにせず、自分なりに考えて行動しようとするのはとても良いことですが、そのためには今まで以上の広い視野で、自分の身の回りのことをよく見ていかなければなりません。
その結果としての独立ならば、きっとより良い未来が待っていると思います。


0 件のコメント:

コメントを投稿