2021年11月1日月曜日

頑張りすぎた計画作りの弊害

年度も下期に入ったところですが、そろそろ来季に向けた計画作りを始める会社もあると思います。

様々な会社で見てきた事業計画作りの様子には、それぞれの会社の個性が強く見られます。どんな会社にも何らかの計画や目標が必ずありますが、計画作りに関する手間のかけ方を見ていると、割とアバウトな目標設定のみというところがあったかと思えば、かなり多くの時間をかけて緻密に組み立てようとする会社があるなど、その取り組み方には大きな差があります。

どちらかというと、歴史がある会社の方が過去からの慣例も含めて詳細に詰めようとし、歴史の浅い新興企業の方が全般的に大まかという印象です。

 

一概に良し悪しは言えませんが、私が見ている中で特に最近感じることが多いのは、計画作りに労力を注ぐ会社の方に、かえってその弊害が起こっていることです。環境や条件、前提が変わってしまって計画見直しが必要な時、それをするのに時間がかかる、もしくは見直し自体ができないという状況に陥っているのです。

手間をかけて緻密に組み立てた計画であるがゆえに見直しづらい気持ちや、一度決めた計画は守り通すべきという心理、見直す手続きが複雑、会社や上司からの計画維持を求めるプレッシャーなど、様々な事情がありますが、根底には「苦労して一度作り上げたものだから壊したくない」という様子が見え隠れします。

こういう会社では、個人の目標管理でも同じことが起こります。期初に設定したものの、その後の状況変化で目標達成が難しくなったもの、意味がなくなったものなどがあっても、目標の見直しや変更をできるだけ避けようとします。意図的というよりは無意識のうちにそうなっているようにも見えます。

 

昨今はVUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)の時代と言われ、先行きの予測が難しい環境になっています。当然計画作りは難しく、実際にも計画通りにいかないことが多くなっていますが、そこで従来からのように「目標を守り通す」と考えることは、かえって問題を大きくします。

 

私が見ている限りでは、若い会社ほど当初目標や計画にこだわらず、状況に合わせてどんどん見直しを進めていく様子があります。変えるのは必須なことで善であるという感覚です。計画や目標は状況次第で変わる物という認識なので、その策定に多くの時間や労力は投入しません。計画作りで頑張りすぎていないので、見直しに柔軟な姿勢があります。

 

もう一つ、計画作りを頑張りすぎると、計画ができたところで「終わった」という達成感を持ってしまい、それ以降の計画達成に向けた取り組みがおろそかになってしまう場合があります。練習しすぎて本番の試合がダメだった話に似ています。

計画作りや目標設定は、目指すゴールを定める上で必要なことですが、重要なのはそれらの達成に向けた具体的な行動であり、準備段階で力を使い過ぎてしまうと、肝心な行動をする力が足りなくなってしまいます。

 

今の環境を考えると、計画作りは頑張りすぎず、見直しを積極的に柔軟におこなうことの必要性が増しています。「走りながら考える」という姿勢がより一層必要になってきています。

 

 

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