2021年11月8日月曜日

「リーダーは・・・」のあるべき論や決めつけや思い込み

あるプロ経営者のインタビュー記事が印象に残りました。

新しい環境に経営トップとして飛び込めば、当然歓迎されないことはあるけれども、社員をまとめて利益を上げなければなりません。

記事の中ではそんな時に「前任者のスタイルを変えなければいけない」と思い込んでいる人がいて、何でも自分流に変えようとするが、現状のやり方で成果が出ているのなら、あえて変える必要はなく、またうまくいっていないことでも、一方的に新しいやり方を押しつけることは、反発されるだけなのでしないそうです。

 

できれば社員と協力して、どんな課題があるかを抽出し、課題が出てきたら全員で解決方法を議論して、今後どう取り組んでいくかを決めていくことで、多少時間がかかってもお互いに信頼関係が生まれて物事がスムーズに運ぶといい、物事を変えるには、「自分のおかげかも」「私も頑張った」と思えるようにすることが重要だと言っています。

記事のタイトルは『「嫌われても構わない」というマネジメントは幼稚だ』とあり、周囲に嫌われては駄目で、どうしたら相手に受け入れてもらえるかを考えて行動するのが、マネジメントの仕事だと締めくくられていました。

「嫌われることを恐れないのがリーダー」という言葉を聞いたことがありますが、確かにそういう面はあっても、それとは反対のことを言っているこの記事の方が、私の現場感覚には合っていました。

 

トップリーダーとして組織に乗り込んでいって、自分の考えで変革を進めて、それが思い通りになれば本人の達成感は大きいでしょうが、そのやり方では必ずどこかに歪みが起こっています。しかし、その歪みにこのタイプのリーダー自身が気づくことはありません。その歪み自体を「あって当然」「仕方がないこと」として、問題視していないからです。

その歪みの多くは社員からの不満や不信ですが、最終的に社員からの共感が得られていなければ、組織改革は結局達成できません。

 

「リーダーは・・・」「リーダーだから・・・」というあるべき論は、至るところで見聞きします。多くはリーダー経験者が自分の体験をもとに話していることで、それぞれ根拠はあるでしょう。

ただそこでは、本人のキャラクターや周囲の環境に左右されていることも多々あり、決めつけや思い込みといったことも含まれています。

 

例えば「リーダーは背中を見せろ」「率先垂範」が否定されることはほぼありませんが、実践するにはリーダーの能力が、スキルや人格まで含めた多くの面でメンバーよりも優れていなければなりません。それはなかなか難しいことです。

また「先頭で引っ張る」というリーダーシップスタイルしかなく、メンバーを「支える」「支援する」「意見を聞く」「自律を求める」という側面はどうしても希薄になります。一般に言われるリーダー的な性格の人には向いていても、そうではない性格の人は、同じスタイルではなかなかうまくいきません。 

陣頭指揮で「采配」を振るう以外に、裏方や世話役として「差配」するというリーダーシップもあり、様々なリーダーシップスタイルを認めることが、より良い組織につながっていきます。

 

「リーダーは・・・」「リーダーだから・・・」のあるべき論や決めつけや思い込みは、できるだけ減らしていくことが望ましいと思います。

 

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