2023年3月20日月曜日

「パワハラ上司あるある」という記事を見て思うこと

ここ最近、いくつかの会社でパワハラにかかわる話を耳にしました。

「それを理由で辞めた社員がいる」「注意されても直す気がない上司がいる」「パワハラと言われることを恐れてコミュニケーションを取らないマネージャーがいる」などの直接的な問題から、パワハラにあたるとは思えないことへの過剰反応、パワハラと主張することでの上司攻撃など、逆パワハラと言えなくもないような事例まで、起こっていることは様々です。

「相手が嫌だと感じれば、それはハラスメントに該当する」という話はあるものの、状況は本当に様々で、かなり悪質と思えるような典型的なものからどっちもどっちと思ってしまうようなもの、さらに明らかな言いがかりのようなものまで、とても大きな幅があります。

ただ、表面化していることの多くは、どこか共通点があるように感じる事象です。

 

そんな中で目にしたのが、「パワハラ上司あるある」という記事でした。

パワハラに陥りやすい上司の特徴として、以下のようなものが挙げられていました。

・言葉遣いが荒い

・上から目線で偉そう

・怒りっぽい

・自分の機嫌で態度が違う

・他責思考でミスや失敗を部下のせいにする

・責任感がない

・常にイライラしている、ストレスをためている

・嫌なことを部下に押し付ける

・プライドが高い・自己顕示欲が強い

・自分の上司には従順

・自己中心的

・支配欲、権力志向が強い

・完璧主義

・神経質、心配性

・臆病、小心、コンプレックスを抱えている

・朝令暮改で話に一貫性がない

・人格軽視

など。

違う資料を調べれば、さらに多くのものが挙がってくるのではないでしょうか。

 

一通り見たところでは、典型的なパワハラ上司が思い浮かぶ一方で、この中の一つや二つの項目は、誰でも多少なりとも当てはまってしまうのではないかということを思います。

私自身を振り返ってみても、ある部分では自己中心的になることがありますし、特定の状況に陥った時には神経質になったり心配したりすることがあります。言葉遣いなど自分では問題ないと思っていても、相手の基準では荒さを感じるかもしれず、やはり注意をしなければと思います。

 

ここで挙げられた項目には、周りの人の気づきやフォローで状況を改善できることと、本人が直さなければどうしようもないことの二通りのものが含まれています。

例えば、「上司に従順」という人は、自分の態度や行動について、上司から叱責されたり釘を刺されたりすると、結構な割合で改善することがあります。

「ミスを部下のせいにする」であれば、上司をはじめとした周囲の人が、きちんと状況を把握すれば実態はわかりますし、「嫌なことを押し付ける」も業務指示のしかたの問題なので、周りから指摘したり正したりすることはできます。

 

問題なのは、本人の性格や資質、態度に起因するようなパワハラ行為の場合です。

「言葉遣いが荒い」「偉そう」「怒りっぽい」「自分の機嫌で態度が違う」「自己中心的」といったことは、そもそも本人がそのことに気づいていなかったり、問題と思っていなかったりすることが多くあります。また、それを誰かから指摘されたとしても、自分ではなかなか直すことができません。本人の感情に由来するパワハラなので、その時の気分次第で突発的に起こるため、その人のさらに上位の人が常に見張ってでもいない限り、行為を止めることができません。

実際に起こっているパワハラ問題で、解決が難しいもののほとんどがこのパターンです。

 

こういう時の対応策を相談されることがありますが、私からの答えはいつも同じで、「この人と部下との接点をなくすこと」です。組織変更、役職降格、一人部署への異動など、方法はいろいろありますが、基本的には部下を持たせず、仕事で誰かに指示命令をする機会をなくすように進言します。そういう対処はなかなか難しい場合があるのは確かですが、「それができなければ解決することもできない」と伝えます。

もしかすると長い期間見守れば、少しずつ改善することはできるかもしれませんが、それまでの間はパワハラ被害者が増え続けるわけで、その状況を放置することはできません。

 

現場を見ていて思うのは、特に感情によるパワハラだけは、会社が毅然とした態度で対応する以外に解決する方法はありません。「パワハラ上司あるある」も、その項目によってとらえ方はまちまちのように感じます。

 

 

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