2023年3月6日月曜日

今どきの高校応援部の自然体の上下関係

 ある高校の応援部に密着したテレビ番組があり、それを見ていて思ったことです。学校としても部活動としても、歴史があるとのことでした。

 

私自身の応援部に対するイメージは、理不尽とも思える厳格な上下な関係と、時には体罰もあり得るようなパワハラ的な体質です。

それを経験してきた人たちにとっては、その環境で鍛えられたことが大切な思い出と経験になっているのでしょうが、今となってはあまり良いとは思えない昭和的な組織といえるでしょう。

 

そんな先入観で見ていたせいもありますが、先輩後輩をはじめとした部内での上下の関係性は、ずいぶんイメージとは違ったものでした。

練習中の雰囲気は、昔のそれと同じでとても厳しいものでしたが、違っていたのは上級生からの威圧するような言葉や暴力的な態度が一切ないことでした。そして練習が終わると、学年関係なく仲良く談笑しています。けじめをつけるときはきちんとつけ、そうでないときは和気あいあいとしたメリハリがあります。

団旗を神聖なものとして厳格に取り扱うことなど、昔からの数々の伝統は守りながら、上下関係に関する部分はずいぶん変わってきています。

 

ある日の練習ですが、OBの先輩が指導しに来ました。現役学生は当然のように緊張していますが、それは私が思っている昔のイメージのような怖さや威圧感によるものではなく、実力がある人に見られて指導されることへの緊張のようでした。あこがれのプロ選手から手ほどきを受ける緊張感と同じです。

また先輩OBの接し方も私の先入観とは違っていて、威圧的なところは全くなく、「ここに気をつけるときれいな姿勢に見える」などと技術的な指導をしていて、褒めるところは褒め、直すべきところは指摘をしています。最後に全員の取り組み姿勢を褒め、頑張れと励まして帰っていきました。

 

もう一つ紹介されていた別の高校では、次期応援リーダーは女性でした。その引き継ぎまでの男性の現リーダーとの接し方は、苦言も伴う厳しさがある熱血なものでしたが、上下関係はあってもお互いがリスペクトしている様子がとてもよくわかるものでした。

どちらの学校にも共通して感じたのは、お互いが信頼感を持って尊重し合う自然体の上下関係です。

 

最近私が多く接する企業内の問題に、パワハラに関わるものがあります。典型的なことが当事者は無意識のままで行われていたり、果たしてそれがハラスメントと言えるのかが微妙と思えるものがあったり、その内容は様々です。

当然ですが、そうなれば上司と部下など当事者同士の人間関係はぎくしゃくします。変によそよそしくなったり、必要以上に距離を取っていたり、ご機嫌取りや無視といったことも起こります。そしてこれらはすべて、前述の高校応援部のような「自然体」とはかけ離れたものばかりです。

 

こういう話をすると、「部活動と仕事は違う」「OBよりもさらに年齢差が大きい」など、いろいろ反論があると思います。しかし、反論してくる人ほど、自分の価値観にこだわって違うものを認められず、相手の考え方を尊重できず、フラットに話し合える関係を築くことができていません。これはもちろん、部下をはじめとした相手側にも、同じような問題が見られることがあります。

 

ただ、人間関係の作り方を見ていると、若い世代の方が「自然体での上下関係」を作ることには長けているように感じます。応援団のような古いスタイルを踏襲していそうな団体でさえ、時代に合わせて合理的に変えるべきところは変えています。高校生ができていることを、大人たちの組織である企業では、まだまだできていないことがあるように感じます。

 

自分と異なる価値観であっても、一度それを認めて受け入れて、その上で関係づくりをしていくという点では、若い世代を見習わなければならないことがあるように思います。

 

 

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