2016年7月6日水曜日

会社のブランドが傷つくこともある「サイレントお祈り」



企業が採用選考を行う際に、不採用となった人に送る書面やメールの最後は、「◯◯様のご活躍をお祈り申し上げます」などと締めくくられていることから、不採用通知メールのことを「お祈りメール」と呼ぶようになっていますが、数年前から、この不採用の連絡すらしないことを「サイレントお祈り」と言うようになりました。

新卒採用で良く見受けられますが、当然のごとく学生からの評判は悪いです。しかし、強く非難されているものの、あまり改善される様子は見られません。

ある記事によると、毎年の新卒採用で、大企業の40%近くは、採用面接終了後に学生を落とす際、メールや電話等の通知をしないといいます。
また、別の記事では、アメリカでも約75%の求職者は、求職活動中に「サイレントお祈り」を経験しているとの情報がありました。洋の東西を問わず、同じようなことが行われているようです。

その理由として挙げられているのは、「忙しいから」「面倒くさい」など、単に作業を省略したいというものとともに、採用人数を確保する上での「補欠調整」ということがありました。
採否の返答をしないことで、その人たちをキープしている状態にして、選考状況や辞退者の動向に合わせて人数調整に使おうということです。
いずれにしても、ほぼ100%が会社側の自分勝手な理由です。

私が採用関連のコンサルティングをさせて頂く際は、この「サイレントお祈り」は厳禁にしています。その理由は、応募者は過去、現在、未来を問わず、お客様かもしれないからです。「サイレントお祈り」を喜ぶ応募者は絶対にいませんから、企業としての行動として考えると、それは企業ブランドを毀損する恐れがあります。

仮に補欠調整のようなことをしなければならないことがあっても、それは返事をすると約束をした期日までの間の話です。場合によってはそのことを正直に伝えて、待ってもらえるかどうかを聞くこともあります。不採用にする人にはもう二度と会わないかもしれないので、そういう人ほど誠意を尽くす必要があると思います。

「サイレントお祈り」というのは決して最近に始まったことではなく、実際にはずいぶん昔から行われてきたことです。ただその当時は、どの会社がどんな採用方法をとっているかなどという情報を得る手段はほとんどなく、雑な扱いをしたとしてもそれが表に出ることはなく、それで叩かれるようなことはほぼありませんでした。

しかし、今のようにネットを中心とした口コミ情報が大量に流通している中では、ほとんど誰も見ていないと思えるような些細なことが命取りになります。
実際に「サイレントお祈り」をされ、その後別の会社に就職した人の声では、「その会社の仕打ちは一生忘れない」「会社のファンだったが、それ以降関連するお店では絶対に買い物をしない」など、ある種のトラウマのように恨んでいる話を耳にします。
環境が厳しかった時期の就職活動で、ギリギリの心情で真剣に取り組んでいたとしたら、そんな気持ちになってしまうことも理解はできます。少なくともその会社が、何人かのお客様を失ったことだけは確かです。

「サイレントお祈り」は大企業の方が多いようですが、たぶんその程度のことで傷つくようなブランドではないと思っているのかもしれません。大企業に多いと感じる最近の不祥事も、そんな感覚で共通しているのかもしれません。

ただ、「サイレントお祈り」のような小さなことをきっかけに、いつか痛い目を見ることは、私は間違いないと思っています。些細なことでも甘く見てはいけないと思います。

2016年7月4日月曜日

無理をしすぎないからやりがいも感じられる



先日、仲間同士で話している中で、何人かが「仕事が面白いなどとは思えない」「むしろつまらない」「やりがいなんてない」などといっています。やっぱり生活のためと思って、どこか仕方がなくやっているし、やらずに済むならやりたくないのだそうです。

私自身は最近そんなふうに思うことは、ほとんどなくなりました。仕事が最優先の人生ではありませんが、今の仕事はまぁまぁ面白いと思ってやっていますし、ただ生活のためと割り切っている感じではありません。やりがいとか社会的意義とか、多少はそんなことも感じながらやっています。

そんな話をしているうちに、ふといくつか、その人たちと私との違いに気づきました。
会社員と自営業の違い、事業者と雇用者の違い、報酬の違いや労働条件の違いなど、一般的に見える違いはありますが、そういうものではなく、「仕事の大変さ」が大きく違うと感じたのです。どう見ても、彼らは私より数倍大変な思いをしています。とにかく「無理をしすぎていること」が多いように感じたということです。

その最たるものは、「無理な業績目標、業務上の目標」です。みんなそれに最優先で取り組み、達成してもしなくても、翌年はさらに無理な目標が降ってきます。そのために無理な働き方をしたり、無理な責任を背負ったりしています。他人に無理を押し付けたり、他人の責任にしたり、中には嘘や言い訳でごまかすこともあるようです。

それに対して私の場合は、自分が甘いということもあるでしょうが、仕事の結果が降りかかってくるのは結局は自分だけなので、そんな無理な業績目標を設ける必要はありません。
お請けした仕事は責任をもって全うすることは当然として、その時の状況によってできることとできないことは変わってきますから、与えられた環境の中でできる限りの100%ということになります。
できないことをできるとは言わないですし、専門外の仕事を無理してどうにかしようとはしません。

無理をしている人たちは、常に誰かからムチを入れられている状態であり、私の場合はムチが入ることはあるけれどもその機会は少なく、そもそもムチを入れるかどうかを決めるのは、ほとんどの場合が自分だということです。

無理をしすぎている人たちは、それが自分の意志ではないですし、そもそも余裕がないですから「仕事が面白い」とか「やりがいがある」などと感じることもできないのだと思います。
やっぱり面白さややりがいを感じるためには、心の余裕が必要です。

仕事のやりがいや面白さを、社員にどうやって見つけさせるかという取り組みが、人事上の課題として挙げられることがありますが、それができない要因に一つには「無理をしすぎている」ということがあるのだと思います。
無理か無理でないかの線引きは、ほとんどは個人の主観なので、一律に決めるのは難しいことです。ただ許されるならば、「仕事の割り切り」が自分の判断でできれば、無理のしすぎはずいぶん少なくなるのではないかと思います。

あらためて言いますが、仕事のやりがいや面白さを感じるためには心の余裕が必要であり、その余裕を作り出すためには、仕事でもある程度の割り切りが必要なのだと思います。

2016年7月1日金曜日

ちょっとの仕掛けで良くも悪くもなる職場環境



生産性やコミュニケ―ションといった課題をきっかけにご相談を頂く機会も多いですが、その動向を左右するものとして、職場環境というのは実は大きな要素です。ちょっとした工夫や仕掛け次第で、仕事の効率やコミュニケーションレベルが上がったり、反対に下がったりということがあります。

製造現場の工場などでは、機具の配置一つで生産効率が変わるということで、すでに様々な工夫がされていますが、一般的なオフィスでは、一部の企業を除いてそのあたりの意識はまだまだ薄いのではないかと思います。

どんなことを指して言っているかというと、例えばある会社では、業務時間中の雑談まがいの会話が多いことを問題視し、社員間の座席の距離を広くし、それぞれに簡単なパーテーションを設けて、座席の独立性を高めました。

確かに雑談は減りましたが、ある時インターネットの使用状況を調べると、業務に関係あるとは思えないサイトへのアクセスが、それまでの二倍以上に増えていたそうです。お互いを監視する目が減ったことが原因と思われます。

またある会社では、同じく業務中の無駄な会話を防止しようと考えて、デスク配置をそれまでの対面式の島型レイアウトから、金融機関などに多い、スクール式で上司が一番後ろから社員を見る形に変えました。
この会社では決して業務中の会話が禁止されている訳ではなく、必要なことはどんどんコミュニケーションを取れという雰囲気を持った会社でしたが、このレイアウト変更によって、本来業務上で必要なちょっとした会話にもかかわらず、社員には何となく気兼ねするような様子があり、連絡ミスが増えるなど作業効率が下がる様子が見られるようになってしまいました。

ある会社では、同じグループの者を背中合わせに配置するレイアウトに変え、対面側は社員通路にしました。
初めの発想は、その方がちょっとした打ち合わせがしやすいだろうということで、その期待通りに、会議室を使うほどでもない自席周辺での打ち合わせが増えるなどの効果がありましたが、さらにプラスして、目の前が通路のため、ちょっと顔を上げると通りすがりの社員と目が合うことで、そこで軽い声掛けのようなコミュニケーションが増え、部門間の壁が低くなるという副次的な効果がありました。

他にも、喫煙ルームを作業スペースから見通せる場所に設置し、仕切りを透明にすることで部屋への滞留時間が減ったとか、コピー機を部屋の中心に置いたら、周りからの目が増えてミスコピーや私用コピーが減り、紙の使用枚数も減ったとか、ちょっとしたことでいろいろな効果が起こります。それは良いことも悪いこともあります。

私も広い意味での組織改革の一環として、こんなアイデア出しをお手伝いすることがありますが、こういうちょっとした工夫や仕掛けで、職場環境は意外に大きく変わるものです。
また、初めはうまくいってもマンネリ化とともに効果が薄れたりしますので、工夫と仕掛けは常に継続することが必要です。

組織改革、風土改革、業務改善などの大げさな言葉で構えても、実際に効果があることは、こんな身近なちょっとした工夫や仕掛けであることは多いです。
皆さんのオフィスで、もしも気づいたことがあれば、ちょっと取り入れてみてはいかがでしょうか。