2013年1月18日金曜日

後々気づく「新人研修」の重み


新入社員が入る会社では、期間の長短の差はあれ、何らかの新人研修を行うと思います。私とのつながりが深いIT業界では、2~3か月の集合研修をやる会社もたくさんあります。

いくつかの会社から人材育成上の課題についてのお話をうかがう中で、その内容を詰めていくと、「それって新人研修の段階でやっておくべきだったよね・・・」とか「新人研修でもっときちんとやっておけば良かった・・・」という反省や後悔の言葉が出ることが意外に多くあります。

IT業界の場合でいえば、技術面で教えなければならないことが多いために、どうしてもITスキル偏重になりがちなのですが、配属後に出て来る問題は、実はビジネスマインドやマナーにつながるところの方が多いのが実態です。(最近は業界問わず同じかもしれません。)

現場の人事担当の方々も、多くはそれに気づいていて、少しでも改善しようとカリキュラムを工夫するものの、時間的な制約も多いためにマナー研修やビジネスマインド系の研修を単発で数日入れるのがせいぜいで、結果として連続的な指導にならずに効果が出ないままになっていたりします。

そうなると、「もっと常識のあるやつを採用しろ」などと採用基準の話になったり、「新人研修なんて意味ないじゃないか」などと研修期間短縮経費節減を言い出す人がいたり、「研修内容が悪い」などと人事部門がやり玉にあがったり、いろいろな人がいろいろな事を言い出して、収拾がつかなくなった経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

私は新入社員からの人材育成は、「採用段階」「内定者期間」「新人研修期間」「配属後1年目まで」は、全体をセットで考える必要があると考えています。
「採用段階」では自社の描く人材像にフィットする人、自社の育成方針に共感できそうな人、育成方法について来られそうな人を採用し、「内定者期間」ではお互いに信頼関係を作りながら会社のやり方や考え方を少しずつ伝え、「新人研修期間」で基本的なマインドを叩き込み、「配属後1年目まで」で継続的に指導していくということです。断片的にどこが悪いかという話にしてしまうと、本質的な解決になりません。

その中で「新人研修期間」というのは、実質は短い期間ですが、その後のやる気、組織への定着、成長度合い、さらには本人の職業観まで、影響する度合いが大きく重要度が高いと考えています。
皆さんも自分自身のことを思い出して頂きたいのですが、入社直後のこと、新人研修のことというのは、良きにつけ悪しきにつけ、鮮明に覚えているのではないでしょうか。
「俺は新人研修なんてしてもらえなかった」なんていう人であっても、新人研修がなかったという事実、代わりにどんな扱いをされていたか、どんな指導を受けたか、どうやって仕事を覚えていったかなど、初めの頃の事はよく覚えていると思います。

新入社員の入社直後というのは、緊張状態という事もあり、神経が研ぎ澄まされていて、何事もインパクトを持って捉える時期、印象に残りやすい時期です。個々に程度の違いはあっても、自分なりに何かを吸収しようと思っている時期ですから、この時期に良い指導を受け、「なるほどそうか」と共感すると、自分の軸ができて多少の雑音では揺らがなくなります。

私が新入社員の指導をする時は、「自律」「自責」「自ら行動」「感謝」などをキーワードにすることが多いですが、研修期間を通じてアプローチし続けると、考え方や行動は確実に変わってきます。
新入社員の成長速度が遅い、定着せずに辞めてしまう、不平不満が多い、というような企業では、特に「新人研修期間」の取り組みを見直してみる必要があるかもしれません。


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