2013年1月22日火曜日

定期異動の功罪


今頃の時期から、そろそろ次年度の予算や組織を考え始める会社も多いと思います。
人事異動の中で、社内のいろいろな仕事を経験させ、ゼネラリストを養成するとの名目で、定期異動という形での異動があります。これには、癒着や不正、腐敗防止などの意味もありますが、多くは「いろいろ経験させるため」でしょう。

その意義は理解できますし、「いろいろな仕事を経験することで自分の幅が広がった」という成功体験も多々聞きますが、定期異動を今の世の中に照らしてみると、私の感覚では「よほど先まで見通している」「考えずに慣習としてやっている」かのどちらかだと思っています。本来であれば、終身雇用の組織でなければ、おかしなことになる手法だからです。

定期異動と称して多くの人を専門外の部署に異動したとすると、短期的には組織の戦力低下しかありません。本人にとってもスキルが身につかない、キャリアの一貫性が無くなるなど、デメリットになります。

終身雇用という長期スパンで社内キャリアを考えればこそ、定期異動は社内のゼネラリスト養成において意義があるでしょうが、会社命令で異動を繰り返し、年数を経た所で経験年数なりのスキルがない、専門性がないと指摘され、肩たたきの対象になる。・・・・これではあまりに理不尽ではないかと思います。

ただし、定期異動が全部悪いかというと、全く逆の例もあります。
異動なしでずっと同じ仕事を続けた結果、他に潰しが利かないキャリアになってしまい、いよいよ仕事が無くなった時に放り出されてしまうということです。例えば専門性の高い技術職などで、徐々に技術が陳腐化してしまう中で起こります。技術移行を考えながら、新たな技術を身につけられるように異動をし、経験を積んでいれば、こんな事にはならなかったはずです。

どちらにも共通しているのは、個人のキャリアをどう積むか、会社としてどう積ませるかを、きちんと考えていないということです。
プロフェッショナルな人間が、将来展望なしで、他の専門知識が要求される部署に行くような、キャリアに配慮しない異動。そこに発生するのは非効率、不要人材、中間管理職の余剰などです。

本来スペシャリスト集団であるべき組織が、そうではなくなる・・・。もしも定期異動を漫然と行っているならば、そこにはデメリットしかないと思います。


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